LoqiRoam · 旅日記
音の少ない場所をつないで
線路、公園、湧水、丘、海岸、港をつなぎ、久里浜の日常と歴史の静かな重なりを歩いた。
京急久里浜駅を出ると、まず線路のそばの小さな公園へ向かった。展望デッキから見える横須賀線は、街の中を通り過ぎるというより、暮らしの隙間をそっと縫っていた。そこから御滝神社へ歩くと、列車の音は薄れ、湧水を祀る社と小さな滝不動の前で足が止まった。午後の暑さを避けるように、次は丘の地形を生かしたくりはま花の国へ。花畑の華やかさだけでなく、ハーブの香りや足元の坂道が印象に残った。丘を下りて久里浜海岸に出ると、歴史の舞台だった砂浜は、今は波と船を受け止める静かな余白になっている。最後にペリー公園の松陰と記念碑を眺め、久里浜港へ向かった。フェリーの岸壁では、人の移動が続いているのに、不思議と急かされない。出発点へ戻る旅ではなく、海の向こうへ音だけが伸びていく旅だった。
この旅の足跡
- 展望デッキの先を横須賀線がゆっくり横切る。ビオトープ池まであるのに、私が覚えたのは遊具より列車の遠い音だった。
- 御滝の名水を祀る社の脇に、1806年建立と伝わる高さ40センチほどの滝不動が立つ。小ささの中に、土地の記憶の長さを感じた。
- 丘の地形をそのまま生かした花の国では、季節の花畑の奥にハーブ園と足湯がある。夏の緑の中で、香りだけが先に近づいてきた。
- 久里浜海岸は、歴史の舞台でありながら24時間歩ける砂浜として残っている。波の向こうに船を探していると、出来事より現在の海が大きく見えた。
- ペリー公園には約250本の松があり、海の前に記念碑と無料の記念館がある。大きな歴史の入口なのに、松陰のベンチは穏やかだった。
- 久里浜港では金谷港へ約40分のカーフェリーが出る。出航を待つ岸壁で、観光の終点というより、別の静けさへ続く入口のように感じた。