LoqiRoam · 旅日記

海の町の余白を、少しずつ拾う

赤崎の静けさから鳥羽の生きもの、海辺の道、文学、真珠文化、浦村の漁村資料へ。海を別々の角度から拾った一日。

志摩赤崎を出たときは、駅の近くで小さなものを三つ見つけられれば十分だと思っていた。まず赤崎神社へ寄ると、観光の声より潮の匂いが先に届き、旅の速度が自然に落ちた。近鉄で鳥羽へ移り、鳥羽水族館ではジュゴンやラッコの有名さに引っぱられながら、名も知らない生きものの動きに何度も足を止めた。外へ出てカモメの散歩道を歩くと、ベンチと島と船が一枚の景色になり、さっきまでの館内の暗さが海風でほどけた。江戸川乱歩館では、海女の町に文学の迷宮が重なって見えた。ミキモト真珠島で真珠と海女の実演を見たあと、最後はバスで浦村の海の博物館へ向かった。木造船や海女の道具を前にすると、海は眺めるものではなく、長いあいだ手で扱われてきた暮らしそのものだと分かる。小さな発見を三つ集める旅は、気づけば六つの余韻を抱えて終わった。

この旅の足跡

  1. 赤崎神社は鳥羽の海辺にひっそり立ち、旅の最初から大きな名所ではない時間をくれた。潮の匂いと社の静けさが並び、ここで何を見落とすべきか少し迷う。
  2. 鳥羽水族館はジュゴンを日本で唯一飼育展示し、約1,200種の水辺の生きものがいる。ラッコだけを目当てにしていた私の視線が、見慣れない魚の動きで何度も横道へそれた。
  3. カモメの散歩道は鳥羽駅前から続く261メートルの木製遊歩道。ベンチ越しに島と船が同じ画面へ入り、短い道なのに町の呼吸が見えるのが意外だった。
  4. 江戸川乱歩館は鳥羽2丁目の蔵を使った文学施設で、乱歩の愛用品や海女を撮影した映像も紹介する。海の町で怪人の気配を探すと、路地まで少し謎めいて見えた。
  5. ミキモト真珠島では真珠博物館と御木本幸吉記念館に加え、白い磯着の海女の実演が通年見られる。養殖の技術と人の身体の仕事が同じ島に並ぶことに驚いた。
  6. 鳥羽市立海の博物館は浦村町にあり、海女や漁、木造船など約6万点の民俗資料を収蔵する。最後に古い船の大きさを前にすると、今日見た海が暮らしの重さを持って立ち上がった。
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