LoqiRoam · 旅日記

湖を背にして、知らない角を拾う

多摩湖の開けた景色から、雑木林、尾根道、水辺、国宝建築、郷土菓子、地域史へと寄り道した。

多摩湖の堤防では、取水塔と水面の大きさに足を止めた。そこから狭山公園へ入ると、湖の明るさは雑木林と宅部池の静けさに置き換わる。八国山緑地では尾根道の坂を選び、近場の散歩のつもりが少しだけ山歩きになった。北山公園の水路と草地で呼吸を戻すと、住宅地の先に正福寺地蔵堂が現れる。1407年の建物が今の道の角に残っていることが、今日いちばん不思議だった。さらに歩いて笹本だんご店へ向かい、売切れ時終了という店の気まぐれにこちらの空腹を預ける。最後はふるさと歴史館で地域の時間を読み直した。名所を順番に集めたというより、曲がるたびに水、森、歴史、味へ視線が移っていった旅だった。

この旅の足跡

  1. 多摩湖の堤防に立つと、取水塔の重厚な屋根と広い水面が同時に見える。出発なのに、もう遠くへ来たようで、最初の曲がり角を急ぐ気が少し失せた。
  2. 狭山公園は堤防の東側に雑木林が広がり、その中に宅部池がある。湖と森が隣り合うせいか、数分歩いただけで景色の音量が下がるのが面白い。
  3. 八国山緑地には約1.5kmの尾根筋の散策路がある。近場の公園と思って入ったのに、坂と土の感触が出てきて、地図より身体の判断を信じたくなった。
  4. 北山公園には菖蒲田やハス池、水路、草地がまとまっている。花の季節を外れても、水の細い線が森と町の境目をつくっていて、曲がる方向に迷うのが楽しい。
  5. 正福寺地蔵堂は1407年建立とされる国宝で、外観はいつでも見られる。住宅地の角に室町時代の曲線屋根が現れるので、町の時間感覚が一度ゆっくりになる。
  6. 笹本だんご店の焼きだんごは大きめで、地域の農家の風習に由来するという。売切れ時終了なのも少し気まぐれで、歩く側の空腹と店の都合が出会う場所だ。
  7. 東村山ふるさと歴史館は無料で、開館時間は9時30分から17時まで。旅の最後に資料を眺めると、今日の路地や水路まで、ただの近道ではなく土地の続きに見えてくる。
地図と足跡で読む