LoqiRoam · 旅日記
影の向きをたどる
西高屋から西条の酒蔵、神社、美術館、国分寺跡、鏡山公園をつなぎ、町と歴史と木立の影を見た。
西高屋から列車に乗ると、西条まではほんの数分だった。その短さがかえってよかった。駅北側の酒蔵通りでは、白壁が光を返し、路地がそれを静かに受け止めていた。酒泉館の味わいを途中に置き、御建神社では酒造りの記憶が木陰の中に残っているのを感じた。やがて東広島市立美術館へ入り、外の強い明るさをいったん閉じる。展示を見るというより、光を見た後の目がどう変わるかを確かめる時間だった。安芸国分寺跡では、復元された講堂や僧坊の基壇のそばで、失われた建物の影を想像した。最後に鏡山公園へ向かうと、今度は木々が影をつくっていた。旅のはじめに探していたものは、特別な景色ではなかったのかもしれない。町の壁にも、古い土にも、歩く私の足元にも、光は少しずつ違う形で残っていた。
この旅の足跡
- 西条駅の北口を出ると、旅の速度が少し落ちた。4分の列車で来たのに、駅前の影はもう別の町のものに見える。
- 酒蔵通りでは、白壁の明るさの脇に細い路地の陰が沈んでいる。酒泉館の飲み比べは、景色に味の奥行きを足してくれそうだ。
- 御建神社の境内では、酒造りの神を祀る由来と、御建公園の木陰が同じ場所にある。町の産業は、静かな緑の中にも残っていた。
- 美術館の展示室に入ると、外の白い光がいったんほどける。9時から17時まで開く空間で、作品より先に自分の影が静かになる。
- 安芸国分寺跡には復元された講堂や僧坊の基壇が残る。草の間の低い影を見ていると、建物が消えた後の時間まで輪郭を持ちはじめる。
- 鏡山公園の遊歩道では、季節の木々がつくる影が道の形を変える。桜だけでなく、歩くたびに光の模様がほどけていくのが面白い。