LoqiRoam · 旅日記
川から山影へ
千代川の水面から山の陰影、河原町の神話、智頭の木造風景へ移る旅
因幡社を出て、まず用瀬の千代川へ向かった。流しびなの館では、雛人形の小さな顔と川面の反射が同じ明るさに見えた。そこから三角山を見上げると、水平だった光が稜線で斜めに切られた。河原町では賣沼神社の杉の陰に入り、八上姫の伝承が土地の暗がりに残っているように感じた。河原城の高みでは一転して川と集落が開け、夕方の色がゆっくり広がった。帰路は智頭宿の杉の木肌を眺め、さらに板井原の谷へ寄り道した。茅葺きの屋根、水車小屋、細い道。遠くの名所より、最後に残った生活の輪郭がいちばん長く目に残った。
この旅の足跡
- 金閣寺を思わせる建物が千代川のそばに立ち、雛人形が時代ごとに並ぶ。水面の反射まで展示の一部に見えた。
- 三角山は猿田彦を祀る山で、参道には女人堂が残る。登らずとも、町の背後に立つ三角の稜線が午後の光を切っていた。
- 賣沼神社は河原町曳田にあり、八上姫の伝承と結びつく場所。杉の間の暗さが、川沿いで見た白い光を静かに反転させた。
- 河原城は河原町を見渡す展望台で、月曜休館の施設。城跡の高みから見ると、川と集落の境目が夕方の薄金色に変わっていく。
- 智頭宿は因幡街道の宿場町で、石谷家住宅が町の中心に残る。杉の町らしい木の面が、傾いた光を柔らかく受け止めていた。
- 板井原集落には茅葺き屋根や水車小屋、古民家が残り、車の入らない谷間の道が続く。日が低くなるほど、生活の跡が輪郭を持った。