LoqiRoam · 旅日記
水面から窓明かりまで
水辺から森、古社、美術館、ギャラリーカフェへ、光の質が移り変わる散歩。
打越を出ると、最初に見えたのは住宅の間からほどける空だった。坪井川緑地では水面が空を低く映し、土手の道が思ったより長く続いた。八景水谷では水源の冷たさが街の音を遠ざけ、立田山では反射していた光が葉の隙間から落ちる光へ変わった。森を抜けて藤崎八旛宮へ向かうと、古い社の参道に人の歩く気配が戻る。二の丸の美術館では外の明るさを背中に置き、装飾古墳の線を暗がりの中で見た。最後に参道沿いのギャラリーカフェへ入り、作品とお茶のそばで窓の色を眺めた。遠くへ行ったというより、同じ光が水、葉、石、壁の順に姿を変えていく旅だった。
この旅の足跡
- 坪井川の遊水地に広がる緑地は、運動場や大きな遊具まで抱えていた。土手の上では空が急に広くなり、水面の反射だけが歩く速度を少し遅くした。
- 八景水谷には水源があり、園内には加藤清正像も残る。木々の間の水は街の音を薄め、像の硬い輪郭だけが午後の光に浮いて見えた。
- 立田山憩の森のサクラ池とトンボ池には、池ごとに違う生きものの気配がある。木道と細い遊歩道を進むと、街の明るさが葉の隙間だけに残った。
- 藤崎八旛宮は935年に迎えられたと伝わる古社。参道の灯ろうと樹木の影を見ていると、祭りの記憶がない日にも道だけが長く息づいているように感じた。
- 熊本県立美術館は二の丸にあり、装飾古墳室を常設観覧できる。外の強い光を背に入ると、古い造形の線が暗がりの中でゆっくり立ち上がった。
- 藤崎八旛宮の参道沿いの不言亭は、展示を見る場所とカフェが同じ空間にある。白い壁の作品、ホットサンド、夕方の窓明かりが、歩いた景色を小さく畳んでくれた。