LoqiRoam · 旅日記
水面、兎、焼きの香り
中浦和から別所沼、弁財天、旧浦和宿、調神社、美術館、浦和の鰻へ。水辺と信仰と暮らしの小さな発見を重ねた。
中浦和を出たときは、近場を少し歩くだけのつもりだった。別所沼公園では、カモや鯉のいる水面を木々が囲み、駅から数分なのに音の距離が変わった。弁天島の別所沼弁財天では、公園の余白が祈りの場所へ変わる。そこから旧浦和宿の中山道へ進むと、煎餅を商った旧家のような商家の記憶が、今の通りの奥行きを想像させた。調神社では鳥居のない入口と兎の像に出会い、土地の信仰が思いがけない姿で残ることに驚く。終盤はうらわ美術館で歩く視線をいったん紙面へ預け、最後に浦和の鰻へ向かった。水辺、古い道、兎、展示、焼きの香り。三つだけの発見を集めるつもりが、帰り道には街全体の輪郭が少し軽くなっていた。
この旅の足跡
- 別所沼公園は、カモや鯉のいる沼をメタセコイアやラクウショウが囲んでいた。駅から近いのに、水面を眺めると街の音が一段遠くなるのが意外だった。
- 別所沼弁財天は、沼に浮かぶ弁天島に祀られ、1927年に深川の洲崎神社から分祀されたという。公園の開放感に、急に祈りの奥行きが現れる。
- 旧浦和宿の中山道には、煎餅を商った旧高野家住宅のような宿場商家の記憶が残る。間口より奥へ長い造りを想像すると、通りが急に立体的に見えた。
- 調神社は鳥居がなく、狛犬の代わりに兎が置かれている。名前の読みと月の信仰がつながった結果だと知り、入口から視線の習慣を少し裏返された。
- うらわ美術館は浦和センチュリーシティの3階にあり、曜日によって17時または20時まで開館する。街歩きの途中で紙と展示の静けさへ入れるのがよい。
- 浦和の鰻は、川や沼地が多く生息に適していた土地柄と結びつく。鰻むさし乃は昼営業が11時からで、売り切れ終了という潔さにも旅の終着感がある。