LoqiRoam · 旅日記
看板の先で、道がひらく
元善光寺から古い校舎、舞台桜、美術館、りんご並木、動物園へ。歴史と街の看板をつなぐ丘の散歩。
元善光寺の朝は、門前の静けさから始まった。近くの旧座光寺麻績学校校舎へ歩くと、明治の学校が歌舞伎舞台にもなる構造だと知り、建物は用途を一つに決めなくてもよいのだと驚いた。その隣では樹齢約400年の舞台桜が、花のない季節にも舞台の余白を守っている。そこから飯田の丘上へ移動し、美術博物館で菱田春草の絵を見た。館内の空気を抜けて通りへ戻ると、店の看板や軒先の文字まで、さっき見た絵の続きのように見えてくる。りんご並木では果樹と商店が同じ歩道の景色になり、最後は小さな動物園で動物の気配に歩調を合わせた。寺、学校、樹、絵、看板、動物。別々に見つけたものが、丘の道を歩くうちに一日の物語へつながった。
この旅の足跡
- 明治7年に開校した木造校舎なのに、1階を歌舞伎舞台にもできる。教室の窓から芝居の気配が見えそうで、学校と劇場の境目が不思議です。
- 校舎の南側に立つ舞台桜は、樹齢約400年のエドヒガン。花の季節でなくても、古い舞台を見守る一本という配置に、誰が最初に名づけたのか気になります。
- 飯田城跡に建つ美術博物館で、飯田出身の菱田春草の作品をたどれる。丘へ上がった足が、今度は一枚の絵の中の空へ移る感じがしました。
- 館を出ると、飯田の町は展示室よりずっと音が多い。春草の絵を見たあとに通りの看板を読むと、店名まで小さな風景画に見えてきます。
- りんご並木は、街の中心を歩いて通れる細長い景色。果樹園ではなく商店や建物の間に木が並ぶので、看板と枝の高さが交互に目へ入ってきます。
- 飯田市動物園は扇町の丘にある小さな動物園。大きな観光施設で締めず、動物の気配と坂道の静けさで終えるほうが、この散歩には似合うと思いました。