LoqiRoam · 旅日記
水の青から杉の沈黙へ
栗野の駅と城跡から丸池湧水へ進み、森の美術館、山の湯、霧島神宮へ。水の静けさが、最後には杉と祈りの沈黙へ変わった。
栗野駅を出ると、足元の用水路が町の時間を静かに運んでいた。駅は旅の始まりというより、水と鉄道と暮らしが交わる小さな結節点だった。松尾城跡では雨に沈む町を見下ろし、次に丸池湧水で、地下から絶えず現れる水の量を想像した。そこから栗野岳の高原へ上がると、霧島アートの森では作品と木立の境界がぼやけ、歩くこと自体が鑑賞になった。山の湯で身体を温め、最後に霧島神宮の石段と杉の参道へ進む。出発時に聞こえた雨音は、終わりには森と祈りの奥から続く、土地の長い呼吸のように残った。
この旅の足跡
- 栗野駅のホーム下には丸池湧水からの用水路が通っている。列車を待つ場所なのに、足元では水が先へ進んでいて、駅が町の終点ではないことに気づいた。
- 松尾城跡の本丸広場からは湧水町の町並みを見渡せる。雨の向こうに家々が低く沈み、城跡なのに防御よりも、暮らしを見守る高台のように感じられた。
- 丸池湧水は、栗野岳にろ過された水が一日に約六万トン湧く池だという。水面は穏やかなのに、底から生まれ続ける量を思うと、静けさの意味が変わった。
- 霧島アートの森は標高約700メートル、約13ヘクタールの自然に囲まれた野外美術館。作品を探して歩くうち、展示を見るより木立の間隔を測っている自分に気づいた。
- 霧島湯之谷山荘では、山の中の温泉らしい硫黄の匂いが雨の冷たさと混ざる。湯から出ても匂いが消えず、景色ではなく身体に場所を覚えさせる時間になった。
- 霧島神宮の表参道は朱塗りの神橋から約80段の石段を上り、杉の気配が濃い参道へ続く。雨音の中では、社殿より先に森そのものへ迎えられた。