LoqiRoam · 旅日記

影の向きが変わるたび

道の駅から山、公園、温泉、木造文化財、丘の遠景へ。近い影と遠い影をつなぐ小旅行。

鹿渡の近くから歩き始め、まず道の駅で土笛の里という土地の記憶に触れた。展望台から遠くを見れば、旅は駅前だけのものではないとわかる。山へ向かう石倉山では、遊歩道の木漏れ日が足元を細かく切り分け、頂から白神山地や湖を見渡した。けれど、遠景を見たあとに惹かれたのは惣三郎沼の静かな水面だった。芝生、小川、遊具のそばに落ちる影には、観光地よりも暮らしに近い時間があった。森岳温泉の湯気でその輪郭をいったんほどき、能代へ移る。旧料亭金勇では天然秋田杉の木目が室内に長い波をつくり、最後に能代公園へ上がると、米代川と日本海と白神の稜線が夕方のひとつの影へ重なった。眺めていたのは影なのに、帰り道には光のほうが深く残っていた。

この旅の足跡

  1. 土笛の里を示す道の駅に、直売所と展望台が同居していた。建物の影から男鹿半島を探すと、旅の縮尺が急に広がった。
  2. 標高143メートルの遊歩道を上ると、白神山地や八郎潟残存湖まで見渡せるという。木々の影を追ううち、平地の旅ではないと気づいた。
  3. 惣三郎沼公園には芝生広場、小川、遊具、テニスコートがある。水面に落ちる木の影は、山頂で見た遠景より近く、少し不思議に濃かった。
  4. 森岳温泉ゆうぱるはヒバの浴槽やサウナ、ジェットバスを備え、入浴は朝から夜までできる。湯気の向こうで影の輪郭だけが柔らかくなった。
  5. 旧料亭金勇は天然秋田杉をふんだんに使った登録有形文化財で、約9メートルの中杢天井がある。木目の陰が、静かな波のように続いていた。
  6. 能代公園は小丘陵全体が公園で、米代川、日本海、白神山地を望める。日が傾くほど、遠くの稜線がひとつの影にまとまっていった。
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