LoqiRoam · 旅日記
水面の影から、街道の余韻へ
余呉湖の水面から賤ヶ岳の眺望、木之本宿の信仰と商いを経て、高時川沿いの喫茶で静かに終える旅。
余呉の朝は、山を映すというより、山の影を水の中へそっと預けていた。湖底には古い埋没林が眠り、羽衣の伝説まで残る。静かな景色なのに、見えない時間が多い。そこから賤ヶ岳へ上がると、余呉湖は一枚の水面ではなく、琵琶湖や竹生島へ続く広い地図になった。高い場所で眺めた影を、今度は木之本の門前町で足元に拾う。六メートルの地蔵像と身代わり蛙、柳の気配が残る北国街道、古い主屋を抱えた酒蔵。山の静けさは、町では軒の深さや商いの続き方に姿を変えていた。最後は高時川沿いの大見へ向かい、古民家の窓から水の流れを眺める。遠くへ来たはずなのに、旅の終わりに残ったのは、朝の湖と同じような、輪郭のない影だった。
この旅の足跡
- 余呉湖は琵琶湖より約50メートル高い湖で、羽衣伝説と2000年前の埋没林が残るという。水面は静かなのに、底には時間が沈んでいる。
- 賤ヶ岳リフトは約6分で山上へ上がり、余呉湖と琵琶湖、竹生島や伊吹山を一望できる。足元の影が、急に広い地図へ変わった。
- 木之本地蔵院の境内には高さ約6メートルの地蔵大銅像と、片目をつむった身代わり蛙がいる。大きな像の足元で、影だけが小さく揺れていた。
- 北国街道木之本宿には、旧宿場町の面影と小川、柳並木、古い建物が残る。道はまっすぐなのに、軒の影が旅人の数だけ曲がって見えた。
- 冨田酒造は木之本宿の街道沿いで室町後期創業と伝わり、主屋は1744年の建築。酒蔵の黒い軒影に、牛馬市のざわめきがまだ残っている気がした。
- 喫茶高時は高時川を見下ろす古民家カフェで、窓辺から竹や川の流れを眺められる。山道の先に珈琲の香りがあることが、少し意外で嬉しい。