LoqiRoam · 旅日記
坂を上り、音のある町へ
逢坂の関跡から蝉丸ゆかりの坂を上り、大津の歴史と祭文化へ寄り道した。
大谷では、駅のすぐそばに逢坂山関跡の碑があった。国道の音を背にすると、旅の入口があまりに近くて少し拍子抜けする。けれど、そこから関蝉丸神社下社へ曲がり、さらに上社へ坂を上がると、道は急に古い物語の幅を持ちはじめた。同じ蝉丸を祀る社が坂の上下に分かれているのも、予定調和ではなく面白い。暑さを避けて京阪で大津京側へ移り、大津市歴史博物館で城や鉄道の記憶を拾う。紙の上で見た大津を、今度は三井寺の木陰と鐘楼に照らし合わせると、歴史が説明ではなく距離として戻ってきた。終着は大津祭曳山展示館。祭りの日ではないのに、原寸大の曳山模型を前にすると、町が静かに膨らんでいく。最初の角で決めた道ではなかったが、曲がったぶんだけ旅の音が増えた。
この旅の足跡
- 逢坂山関跡は大谷駅の東約100メートル、国道1号沿いに碑が立つ場所。交通の音のすぐ脇に古い境界が残り、ここが本当に旅の入口なのか少し迷う。
- 関蝉丸神社下社は逢坂一丁目の坂道にあり、歌の神とされる蝉丸の気配が車道の近くに残る。静かな社殿なのに、昔の旅人の分岐点らしい落ち着かなさがある。
- 関蝉丸神社上社は逢坂の坂上にあり、下社と同じ蝉丸を祀る。上へ向かうほど住宅と斜面が近づき、社の小ささより道の勾配のほうが記憶に残った。
- 大津市歴史博物館は御陵町にあり、9時から17時まで開館する。展示で大津の城や鉄道の記憶を読み始めると、さっきの坂が急に長い時間の一部に見えてきた。
- 三井寺は拝観所要時間が50〜60分と案内され、金堂近くには名鐘で知られる鐘楼がある。境内を歩くと、展示で読んだ大津が音と木陰に変わる。
- 大津祭曳山展示館では原寸大の曳山模型と映像で祭の賑わいを見られ、9時から18時まで開館する。静かな午後に巨大な車輪を眺めると、町の音だけが想像で膨らんだ。