LoqiRoam · 旅日記
青がほどけ、森に戻る
町の水辺から牧草地、摩周湖、硫黄山、温泉街を経て、和琴半島の森へ。光の変化を追う短い観察の旅。
摩周の起点を出て、まず釧路川沿いの道の駅で足を止めた。湯気と水面の反射が近くにあり、旅は大きな景色から始まらなくてもよいと思った。牧場では草原の広さと牛乳の白さに目が移り、そのあと摩周湖へ上がると、視界の尺度が急に変わった。湖は青いまま静かだったが、雲の薄い影だけが表面を動かしていた。硫黄山では白い噴気と黄色い地面が、その静けさを鮮やかに裏返した。川湯温泉の気配で熱を生活の側へ戻し、最後は和琴半島を歩いた。森、湖、地熱。夕方の光は三つを順番に撫で、帰るころには、見たものより変わり続けた明るさが残っていた。
この旅の足跡
- 川沿いの道の駅で、足湯の湯気が釧路川の白い反射と重なった。市場の明るさより、水面の揺れのほうが長く残る。
- 草原に七十ヘクタールの牧場と百二十頭の乳牛がいる。牛乳の白さを見ていると、空の青が少し濃く見えた。
- 摩周湖は見える日にも、輪郭が完全には固定されない。深い青の上を薄雲が滑り、湖そのものが呼吸しているようだった。
- 硫黄山では白い噴気が岩肌の隙間から絶えず立つ。湖の青を見た直後だから、黄色い地面の光が少し強すぎた。
- 温泉街では、湯の気配が建物の間に薄く漂っていた。日帰り浴場を調べてから歩くと、観光地より暮らしの夕方に近く感じる。
- 和琴半島は三・二キロの探勝路で、森の先にオヤコツ地獄がある。湖面の青と木漏れ日が、歩くたび別の色になった。