LoqiRoam · 旅日記
池のひかりから、木陰へ
庭園の水面、商店街の足元、薬草の細部、巨木の樹冠へ。街の明るさが少しずつ深い緑へ変わる散歩。
戸越公園では、池を中心にした回遊式庭園の順路に身を預けた。橋を渡るたび、水面の白さが少しずつ変わる。戸越八幡神社では、明るい住宅街の途中に濃い木陰が現れ、水源の伝承が遠い話に思えなかった。そこから戸越銀座へ出ると、震災後のレンガの記憶が足元にあり、店先ではコロッケの熱が立っていた。武蔵小山の屋根の下で光を細く見たあと、薬用植物園で植物の名前に立ち止まる。最後の林試の森公園では、かつての試験場に残る巨木が夕方の空を分けていた。街を歩いたはずなのに、終わりには木陰の中で光を見上げていた。
この旅の足跡
- 池を中心に渓谷、滝、築山が連なる庭園だった。水面に雲が薄く映り、門の影だけが先に動いていた。公園なのに、歩く順番まで庭が決めているようで少し驚く。
- 社の由緒には、1526年に藪清水の水源から御神体が現れたという伝承が残る。境内の木陰は明るい道の途中で急に深くなり、水の記憶が今も消えていない気がした。
- 戸越銀座には、震災後に銀座のレンガ瓦礫を敷いたという由来がある。足元の歴史と、店先の揚げたてコロッケの匂いが同じ通りにあり、過去が食べ歩きの形で残るのが面白い。
- パルムは武蔵小山の長いアーケード商店街。屋根の下では空の明るさが店のガラスに細く分かれ、戸越銀座とは違う、天候から少し守られた街の表情が見えた。
- 星薬科大学の薬用植物園では、約800種の有用植物を樹木園、水生植物園、標本園、温室などで見られる。名前を読むたび、街の緑が薬の原料にも見えてきて、視線が足元へ落ちた。
- 林試の森公園は、かつての林業試験場の跡地で、幹回り3メートルを超える樹木も残る。夕方の光は葉の高さで砕け、空が木々の間だけ別の色になる。