LoqiRoam · 旅日記

足音が変わるたび、松山の輪郭

石手川の散歩道から石段、文学、湯の町、商店街を経て高みへ。音の密度が変わるたび、歩く速度も変わった。

八多喜の座標を出て、松山市街へ向かった。最初に石手川緑地へ寄ると、川そのものより、遊歩道の足音や鳥の声が先に耳へ届いた。街の近くにも、音がほどける場所がある。そこから伊佐爾波神社の135段へ進むと、水平だった歩きが一段ずつ乾いた響きに変わり、上に現れた朱塗りの楼門が疲れを別の感情へ変えてくれた。道後では子規記念博物館の展示に耳を休める。文字と資料がつくる静けさのあと、道後温泉本館の前で人のざわめきへ戻った。ハイカラ通りを歩くころには、店先の声も甘い匂いも、湯上がりの笑いも、ひと続きの街の音に聞こえていた。最後は松山総合公園の展望広場へ。高みから見下ろすと、旅を運んでいたのは名所の数ではなく、音の密度が変わるたびに歩幅を変えたことだった。

この旅の足跡

  1. 石手川緑地には、和田重次郎にちなんだ約800メートルのオーロラ遊歩道がある。市街地の近さに驚きながら歩くと、車音の隙間から鳥と足音が浮かんできた。
  2. 伊佐爾波神社へ続く石段は135段。登る前から足音が乾いたリズムになり、上には鮮やかな朱塗りの楼門が見える。その色の強さが、坂の疲れまで変えてしまった。
  3. 松山市立子規記念博物館には約7万点の実物資料や書籍が収蔵され、常設展示もある。さっきまでの足音が、ここでは文字の余白に吸い込まれるようで不思議だった。
  4. 道後温泉本館は公衆浴場として初めて国の重要文化財に指定された建物で、現在も営業時間が案内されている。木造の輪郭の前では、観光客のざわめきにも長い時間の底音があった。
  5. 道後ハイカラ通りは約250メートルの商店街で、坊っちゃん団子やタルトの店、土産物店、カフェが並ぶ。名物を探す前に、声と足音が細い通りで反響する様子を聞いていた。
  6. 松山総合公園の展望広場は日本夜景遺産の自然夜景遺産に認定されている。昼の街を見下ろすと、下から追ってきた人や車の音が薄まり、自分の呼吸だけが近くなった。
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