LoqiRoam · 旅日記
水音から湯けむりへ
矢倉から吾妻峡、八ッ場ダム、川原湯温泉を経て草津へ。川・交通・湯の音をたどる旅。
矢倉を出ると、まず吾妻川の向きを探した。駅を目的地にせず、川へ近づく道を選んだことで、朝の静けさに生活の音が混じってくる。吾妻峡では岩の間を流れる水が場所ごとに響きを変え、歩くこと自体が小さな聴き比べになった。道の駅あがつま峡の足湯でいったん速度を落とし、八ッ場ダムでは同じ水が広い湖面へ姿を変えるのを眺めた。不動大橋から谷を見下ろすと、車の音が遠くへ沈み、風だけが近かった。川原湯温泉駅で列車を待つ気配に触れたあと、バスで草津へ向かう。湯畑では水音が熱と硫黄の匂いをまとい、朝から追ってきた流れが、最後に湯けむりとしてほどけていった。
この旅の足跡
- 矢倉の朝は、吾妻川の水音と山あいの生活音が近いらしい。駅前だけでは見えない川の向きを確かめると、旅の始まりが少し立体的になった。
- 吾妻峡は約2.5km続く渓谷で、遊歩道には岩と川の近さが残る。歩いてみると、水音が場所ごとに低く高く変わるのか確かめたくなる。
- 道の駅あがつま峡には足湯や健康広場があり、渓谷歩きの途中で休める。山道の緊張がほどけると、湯の音まで聞こえてくる気がした。
- 八ッ場ダムの湖面は、渓谷の細い響きとは違う広がりを持つ。水をせき止めた場所なのに、遠くの山の音まで受け止めているようで少し不思議だった。
- 不動大橋は高さがあり、八ッ場あがつま湖と谷の景色を一度に見渡せる。車の音が下へ遠のくほど、橋の上の風が大きく感じられた。
- 川原湯温泉駅からは周遊バスで温泉地へ行け、駅そのものにも新しい町の入口らしさがある。列車の音と湯の気配が同じ谷に重なるのが印象的だった。
- 草津温泉の湯畑では、湯が流れ続ける音と硫黄の匂いが一緒に立ち上がる。朝から追ってきた水が、最後には熱を持って戻ってきたようだった。