LoqiRoam · 旅日記

水の町で、角を六つ曲がる

美川の伏流水、県のルーツ、北前船、発酵食、手取川河口を路地歩きでつないだ。

加賀笠間を出たときは、駅の近くを少し歩いて帰るつもりだった。けれど北東へ進むと、美川の町には手取川の伏流水が静かに入り込んでいるらしい。そこで予定を一つ外し、細い道の向きを選びながら水の痕跡を探した。石川ルーツ交流館では、明治の県庁跡、北前船、手取川の話が一つの場所に重なっていた。任孫商店とあら与では、ふぐの子の糠漬けという長い発酵の時間に出会い、町の歴史が食卓にも保存されていることに驚いた。最後に手取川河口の空へ出ると、路地で縮んでいた視界が急にほどけた。帰り道は少し遠回りでも、角を曲がったぶんだけ納得できそうだ。

この旅の足跡

  1. 美川の伏流水は手取川扇状地の地下を通り、河口近くで湧き出す。道の脇の水は派手ではないのに、町全体が水の出口みたいで少し不思議だ。
  2. 安産川は川床から湧く伏流水が流れ、夏でも水温が14〜20度前後だという。橋の上から眺めるだけでも、町中に冷たい山の気配が残っている。
  3. 石川ルーツ交流館は、明治5年に県庁が置かれた跡地にある。北前船や手取川の展示を見ていると、県名までこの町の角から始まったように思えてくる。
  4. 任孫商店では、ふぐの子や魚の糠漬けを自然発酵で仕込む。江戸後期から続く蔵の時間を想像すると、買い物なのに小さな発掘みたいだ。
  5. あら与本店は美川北町にあり、ふぐの子を使った食文化を今に伝える。店先で味の想像が膨らみ、海辺へ歩く前なのに旅が一度満ちた。
  6. 手取川は美川で日本海へ注ぐ。河口付近では町の細い道が突然ほどけ、白山から来た水の終点を見ているのに、次の旅の入口にも見えた。
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