LoqiRoam · 旅日記

水の記憶、土の熱、糸の流れ

間々田の水辺から乙女河岸、商家、古代の瓦窯、伝統の組紐へ。土地の記憶を異なる手触りで集めた旅。

間々田駅の近くから歩き始め、最初に出会ったのは、弁天池と社を抱く間々田八幡宮だった。池の静けさを見ていると、巨大な蛇が水を飲み、雨と豊作を願う祭りの姿が浮かんだ。そこから乙女河岸跡へ向かうと、思川はただの景色ではなく、小舟から高瀬舟へ荷を渡した道だったとわかる。河岸の商いを今に伝える車屋美術館では、建物そのものが商家の記憶になっていた。さらに乙女不動原瓦窯跡で古代の窯と粘土の跡を見て、土地のものづくりがずっと長く続いてきたことに驚く。最後は間々田ひもの細い正絹糸へ。水の流れ、土の熱、糸の組み目が、別々の発見なのに一つの道としてつながった。

この旅の足跡

  1. 弁天池のそばに厳島神社と三代目の頼朝手植えの松があり、境内なのに水辺の小公園のようだ。芭蕉の句碑まで見つかって、最初の寄り道から時間の層が多い。
  2. 八幡宮の祭礼では巨大な蛇が池の水を飲むという。静かな池を眺めながら、雨乞いと豊作への願いが今も風景の奥に残っているように感じた。
  3. 乙女河岸は小舟から高瀬舟へ荷を積み替えた物流拠点だった。今の川は穏やかだが、米や日光の普請材がここから動いたと知ると、水面が急に忙しく見える。
  4. 車屋美術館は、乙女河岸で肥料問屋を営んだ小川家の建物を活用している。展示を見る前から、商家の梁や門が土地の商いを語っているのが面白い。
  5. 乙女不動原瓦窯跡では、奈良時代の窯や灰原、粘土を掘った跡が確認されている。復元窯の断面を見ると、一枚の瓦が土と火から生まれる工程を想像できた。
  6. 間々田ひもは正絹糸を組む伝統工芸で、帯締めや刀の下緒にも使われる。細い糸が規則正しく重なる姿を思うと、旅で見た川や道まで組み目に変わった。
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