LoqiRoam · 旅日記

谷の奥から、町の細道へ

旅客利用の難しい谷奥を起点に、運行状況を踏まえて宇奈月へ下り、川、ダム、温泉街の路地と休息をつないだ。

小屋平を出発点にしたが、そこは人を迎える駅というより、深い谷に鉄道と水力の気配が残る場所だった。だから私は、欅平へ無理に進む道を選ばず、現在の運行範囲を確かめながら宇奈月側へ下った。駅前では旅の入口と帰還の気配が同居し、川沿いへ曲がると水音が町の輪郭をほどいていく。ダムの設備を眺めたあと、温泉街の細い坂道に入り、自然だけではない黒部の時間を拾った。最後に足を休める場所を探しているうち、今日の旅は名所を集めることではなく、山から町へ変わる瞬間を見逃さないことだったと気づく。帰り道の角は、行きより少しだけ親しい。

この旅の足跡

  1. 小屋平は旅客駅ではなく、深い谷に鉄道と水力の気配だけが残る場所だった。人のための入口ではない感じが、出発点として妙に気に入った。
  2. 宇奈月駅に着くと、さっきまでの秘境が急に切符売り場と商店の町になる。峡谷への入口なのに、旅の始まりより帰還の気配も混ざっていた。
  3. 黒部川の水は町のそばでも山の色を失っていない。川沿いへ曲がるだけで音が先に近づき、観光地の景色より生活の水路を覗く気分になった。
  4. ダムの構造を見ていると、峡谷は自然だけでできた景色ではないと気づく。巨大な設備なのに周囲の緑へ沈み、少しだけ秘密基地に見えた。
  5. 温泉街の古い建物の間には、湯けむりより細い道がある。名物を探すつもりが、軒先の影と坂の向きばかり気になり、予定を一つ忘れた。
  6. 足湯のように立ち止まれる場所を探すと、山の旅がようやく身体に戻ってくる。遠くの谷を思いながら、帰りの角を急がない理由ができた。
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