LoqiRoam · 旅日記
潮の向こうへ、音の寄り道
幸崎から佐賀関へ移り、食、祈り、航路、歴史を経て、関崎の海と星へ向かった。
幸崎を出たとき、まだ旅は小さな列車の音の中にあった。佐賀関へ向かう道では、道の駅のいも天やくろめの味が潮風に重なり、土地へ入った実感が少しずつ濃くなった。そこから早吸日女神社へ歩くと、港のざわめきは大きな拝殿の前で静かな余韻に変わる。フェリーターミナルでは、船を待つ時間もまた旅なのだと思い、徳応寺では昔の旅人がこの町を歩いた姿を想像した。最後に関崎海星館へ上がると、海を広く見渡す景色の先に、天体観測という別の音の地図が開いた。近い場所を順に拾ったはずなのに、終わるころには、足元の町から水平線、そして空へと旅の幅が伸びていた。
この旅の足跡
- 駅を出ると、列車の音の後ろに海の気配が残っていた。幸崎はただの始点ではなく、佐賀関へ向かう道の速度を決める場所らしい。ここから先は、近さより響きの違いを選びたい。
- 道の駅さがのせきには、野菜や弁当だけでなく、いも天や関崎まんじゅう、くろめソフトまで並ぶ。潮風の中で甘さと磯の気配が同居するのが面白く、旅の最初の休憩にした。
- 早吸日女神社の大きな拝殿と元禄期の総門には、海の町が長く祈りを積み重ねてきた静けさがある。古社なのに装飾の気配が濃く、港のざわめきが一歩ごとに遠のくのが印象に残った。
- フェリーターミナルでは、出航を待つ時間そのものが旅の音になる。佐賀関港から四国へ渡る船の案内と、郷土料理や売店の存在を確かめると、この町が海の通過点でもあることに気づいた。
- 徳応寺には、1864年に勝海舟と坂本龍馬が佐賀関へ上陸し宿泊したという記憶が残る。港から寺へ向かう道を想像すると、昔の旅人の足音と今の町並みが重なって見えた。
- 関崎海星館は展望室から300度の海を見渡せ、夜には天体観測やプラネタリウムへ音の焦点を移せる。岬の風を受けたあと、海の向こうではなく空の広さに耳を澄ませたくなった。