LoqiRoam · 旅日記
水郷の縁を、看板から庭へ
旧家、庭、輪中の歴史、公園、花の大景観をつなぎ、最後に駅前の小道へ戻る散歩。
近鉄長島駅を出ると、最初に目に入ったのは観光地らしい派手な入口ではなく、生活の道に並ぶ案内と家々の間の細い曲がり角だった。南東へ歩いて長島水辺のやすらぎパークに着くと、明治の旧家と庭が水郷の記憶を静かに見せてくれた。そこから又木茶屋へ戻り、椿と旧長島城の庭石を眺めながら、土地の歴史が食事の時間にも続いていることに気づく。輪中の郷では、堤防と水屋、長島一向一揆や伊勢湾台風の記録に触れ、平らな景色が決して単純ではないと知った。カルチャービレッジの芝生と巨石群では、その歴史をいったん風の中へ持ち出した。最後になばなの里へ移ると、花と光と売店の看板が視界を大きく塗り替える。けれど駅へ戻るころには、いちばん印象に残ったのは大庭園より、途中で見つけた小さな道の折れ方だった。
この旅の足跡
- 明治12年の旧久我邸を改修した休憩施設で、庭の静けさが駅から歩ける距離に現れる。水郷の町なのに、まず家の記憶に出会うのが意外だった。
- 画家の旧宅を使った和風レストランで、椿と旧長島城の庭石を眺めながら食事ができる。看板の先に庭園が隠れているようで、歩く速度が自然に落ちた。
- 輪中の郷では、堤防に囲まれた海抜0メートル以下の島の暮らしや長島一向一揆、伊勢湾台風を知ることができる。景色の平らさに別の深さが加わった。
- 芝生広場、花木の丘、輪中ゾーン、サビミカゲの巨石群が広がるカルチャービレッジ。資料館で知った水の土地が、今度は空の広さとして見えてきた。
- 約30万平方メートルの園内に、季節の花、ベゴニアガーデン、地ビールや里の湯まで揃うなばなの里。小道の散歩が一気に大景観へ変わり、看板の多さにも圧倒された。
- 帰り道、駅前の案内板と細い生活道路が、さっきまで見ていた大庭園とは違う長島の輪郭を見せる。大きな名所のあとほど、小さな曲がり角が気になった。