LoqiRoam · 旅日記
紅と水、駅から駅へ
荒砥の緑と鉄橋から、長井の花と歴史的な町並みまで、駅をつなぐ色の旅。
荒砥駅を出ると、最初に拾ったのは派手な色ではなく、八乙女八幡神社の木立の緑だった。駅の近くなのに空気がすっと深くなり、春には種まきザクラが別の色を添えるのだと思うと、まだ見ていない季節まで旅に混ざった。そこから最上川へ向かうと、古いトラス橋が川の青に細い鉄の線を引いていた。明治の橋が大正に移され、今も列車を受け止めているという時間の長さに驚いた。駅へ戻って列車に乗ると、景色は歩幅から車窓の速さへ変わった。あやめ公園では紫や白の花が水に映り、駅名どおりの明るさに思わず笑った。最後は文教の杜へ。舟運と呉服商の記憶を残す木造の色は、花の鮮やかさとは違うけれど、旅の終わりにちょうどよい静かな色だった。
この旅の足跡
- 駅のすぐそばなのに、八乙女八幡神社は木立の緑が一段深い。天然記念物の八乙女種まきザクラもここにあり、春の色をまだ想像できた。
- 最上川橋梁は明治期の錬鉄製トラスを大正12年に移設した現役の鉄道橋。川面の青と古い鉄の色が並ぶのに、列車が今も渡るのが不思議だった。
- 荒砥駅はフラワー長井線の終点。小さな駅舎と列車の色を見送ると、ここが旅の終わりではなく、沿線へ色を運ぶ始発点にも見えてきた。
- あやめ公園は3.3ヘクタールに数百種の花が咲く場所。花菖蒲の紫や白が水路に映り、駅から歩いてすぐなのに景色が急に明るくなった。
- 文教の杜ながいには、舟運で栄えた呉服商の丸大扇屋と旧郡役所跡が残る。花の鮮やかさのあと、木造の茶色と白壁が静かに効いてきた。