LoqiRoam · 旅日記
海風のあと、山のそばへ
駅前の歴史から海辺の記憶、港の営み、山麓のそばへ移る新地の寄り道旅。
新地駅前では、まず観海パークの角で足を止めた。ここは震災で流失した観海堂の現在地で、駅前の新しさの下に、明治から続いた学びの場所が静かに重なっている。町役場の展望フロアへ上がると、駅と太平洋が一度に見え、地上で見ていた道が急に細い線になった。そこから海側へ曲がり、釣師防災緑地公園を歩く。園路にかつての町道の形が残ると知ってから、何気ないカーブまで誰かの暮らしの跡に見えてきた。港の海釣り公園では、海は記憶だけでなく、今も魚を待つ場所だった。最後は思い切って山へ向かった。鹿狼山の麓では、海の明るさが木立の陰影に変わる。そばの香りを追って鹿狼の湯へ入り、十割そばで一日を閉じた。まっすぐなら出会わなかった景色ばかりで、曲がり角にはまだ余白がある。
この旅の足跡
- 駅前の観海パークは、震災で流失した観海堂の現在地だった。新しい広場なのに、入口の記念碑を読むと足が少しゆっくりになる。
- 新地町役場の4階展望フロアからは駅前の街並みと太平洋を一望でき、震災前のジオラマも見られる。景色が二重に見えそうだ。
- 釣師防災緑地公園は海沿いの園路に震災前の町道の形を残し、年表やジオラマも展示する。遊び場と記憶が同じ風の中にある。
- 新地町海釣り公園は相馬港5号埠頭にあり、ヒラメやクロダイなどの釣果情報も出ている。砂浜の静けさから、港の実用的な音へ切り替わる。
- 鹿狼山は新地町と丸森町の境にある里山で、四季を通じて歩ける町のシンボル。海を見たあとに山へ向かうのは、少し唐突でちょうどいい。
- 鹿狼の湯のそば処どんぐりでは、自家栽培・自家製粉の十割そばを11時30分から14時まで味わえる。山の帰りは、湯より先に香りに呼ばれそうだ。