LoqiRoam · 旅日記
山上から、だしの匂いのする水辺まで
八栗寺の参道から牟礼の石工文化、古道とうどんを経て、水辺に混ざる屋島を眺めた。
八栗山上を出たときは、今日は山の中だけで終わるのだろうと思っていた。けれど参道の石段とケーブルカーの線路を見比べているうちに、歩く方向が少しずつ麓へ傾いた。八栗寺では五剣山を背にした境内の静けさに足を止め、その後は牟礼の石工文化へ。石は寺の材料ではなく、町の仕事として道の脇に残っていた。古道では源平の大きな物語が民家の軒先まで縮まり、うどんの湯気でさらに日常へ戻る。最後は新川沿い。屋島は堂々と現れるのに、こちらを見ろとは言わない。今日はそのくらいの距離感がちょうどよかった。
この旅の足跡
- 参道の石段の脇で、ケーブルカーの線路が山へ消えていく。登ったのに、ここからは下りたくなる——その矛盾が妙に気に入った。
- 五剣山を背にした八栗寺は、堂々としているのに境内の視線がよく抜ける。お参りのあと、出口を一つ間違えたら別の旅になりそうだ。
- 牟礼では石が名物ではなく仕事だった。石垣や加工の気配が道に残り、展示室へ入る前から町全体が少し硬質に見えてくる。
- 源平の記憶が残る道を曲がると、戦の遠さより民家の軒先の近さが勝つ。説明板を読んだあと、同じ道が少しだけ厚くなった。
- 昼のうどんは回転が速いのに、だしの香りだけは急がない。麺をすすって、山から海側へ来た実感がようやく追いついた。
- 新川の土手では、建物の隙間から屋島が突然現れる。名所を正面から見上げるより、暮らしの風景に混ざった輪郭の方が今日は面白い。