LoqiRoam · 旅日記
板東から、橋の向こうへ
遍路の始点から大楠の神社、日独交流の橋と二つの記念館へ。板東の静かな道で、土地が記憶を受け渡す三つの発見を集めた。
板東の座標から歩き始めると、最初に出会うのは四国遍路の一番札所、霊山寺だった。菅笠や金剛杖が並ぶ門前には、ここが長い旅の入口だという気配がある。そこから大麻比古神社へ向かうと、旅の時間が急に深くなる。大楠の木陰を抜け、境内の丸山公園にある小さなドイツ橋へ寄り道した。谷川に架かる短い橋なのに、戦時中のドイツ兵と地元の人々の交流を背負っている。隣のドイツ館では、その出来事が展示として残り、さらに賀川豊彦記念館では、平和や互助を考え続けた一人の人生に出会えた。遍路の始点、千年の森、友情の橋。三つの発見は別々に見えて、最後にはこの土地が人を迎え入れ、記憶を手渡してきた話としてつながった。
この旅の足跡
- 遍路の始まりらしく、境内には菅笠や金剛杖まで並ぶ。ここから約1460kmの旅が始まると思うと、門前の空気まで少し大きく見えた。
- 大麻山を背にした阿波国一宮は、境内の大楠が樹齢千年ともいわれる。参拝の場所なのに、森そのものが先にこちらを見ているようで不思議だった。
- 小さな谷川に架かるドイツ橋は、第一次世界大戦中のドイツ兵が築いたもの。橋は短いのに、そこへ人の手が届いた距離の長さを考えさせられた。
- ドイツ館は9時30分から17時まで、板東俘虜収容所でのドイツ兵の活動と地元の人々との交流を伝える。戦争の施設なのに、展示の中心が交流なのが印象に残る。
- 賀川豊彦記念館では、直筆原稿や著書を含む600点超の資料を見られる。旅の終わりに社会運動家の言葉へ戻ると、さっきの橋の意味まで少し広がった。