LoqiRoam · 旅日記
影のほどける久留米
筑後川から水天宮、梅林寺、青木繁旧居、庭園、老舗の味を経て、高良山の夕景へ。影の濃淡で久留米を読む旅。
久留米に着いたとき、旅の行き先はまだ決めなかった。まず筑後川のそばへ出ると、橋の下の涼しさと水面の明るさが、町の輪郭を静かに分けていた。水天宮では流れる水のすぐそばに祈りの場所があり、守ることと流すことが同じ景色に収まっているのが不思議だった。梅林寺では有馬家の墓所へ続く木陰に歴史の重さを感じ、青木繁旧居では、名作より前の少年の時間に耳を澄ました。やがて石橋文化センターの池で樹木の影がほどけ、ラーメンの湯気が旅を暮らしの側へ引き戻す。最後に高良山へ上がると、石段の先の夕日が、今日見た水・家・寺・庭の影を一本の線に結び直していた。
この旅の足跡
- 筑後川の川面に朝の空が薄く揺れていた。久留米の旅は、名所を急いで集めるより、橋の下に残る涼しい影から始めたい。水辺の町は思ったより静かだ。
- 久留米水天宮は全国の水天宮の総本宮。筑後川に寄り添う境内で、祈りの場所なのに水の流れがすぐ隣にある。その近さに、守ることと流すことの不思議を感じた。
- 梅林寺には久留米藩主有馬家の墓所がある。白い壁際の木陰は、華やかな城下町の裏側を静かに見せていた。墓所へ向かう道の長さまで、時間の重さに思えた。
- 青木繁旧居は、画家が17歳まで過ごした家を復元整備したもの。無料で入れる小さな家の畳に、まだ描く前の時間が残っているようで、影が人物より先に語る気がした。
- 石橋文化センターは1956年に郷土へ寄贈された庭園と文化の場。池の縁では木々の影が水面で崩れ、建物より先に季節が姿を変えていく。ここで歩調が少しほどけた。
- 大砲ラーメン本店は通外町にあり、呼び戻しスープの老舗として10時30分から21時まで営業している。湯気の向こうで、影を眺める旅が急に胃袋の現実へ戻された。
- 高良大社では時期によって石段の中心に夕日が落ちる「光の道」が見られるという。山中腹から町を見下ろすと、今日見てきた影が一本の線に並ぶのか、確かめたくなった。