LoqiRoam · 旅日記

鬼の里で、まっすぐ行かない

直売所から古木、山の展望、伝説の神社、保存される一本桜へ、曲がり角ごとに大越の表情を変えていく旅。

大越に着いて最初に選んだのは、観光地らしい入口ではなく、野菜と土地の味が集まる直売所だった。そこから道を一本外すと、見渡神社の境内林。樹齢約300年のけやきは、社殿を見に来た私の視線をあっさり奪っていった。次の曲がり角では里山が山道に変わり、高柴山の展望台から阿武隈の峰々を眺めた。ツツジの名所は、花の季節でなくても山全体の記憶を残している。下りてから白鳥神社へ戻ると、坂上田村麻呂ゆかりの伝説が急に近くなる。終着には永泉寺のサクラを選んだ。県指定天然記念物で、保存会に守られる一本。咲いていない季節の桜は少し気まぐれだが、だからこそ旅の最後に似合う。

この旅の足跡

  1. 野菜の匂いに誘われて立ち寄ると、大越町の特産品と採れたて野菜が並ぶ直売所だった。売り物を使った調理指導まであるらしく、買うだけで終わらないのが少し意外だ。
  2. 鳥居の先に、境内林ごと守られてきた空気がある。見渡神社のけやきは樹齢約300年、幹周り6メートル余り。枝分かれの形を眺めていると、神社より木が主役の日もありそうだ。
  3. 社の脇で立ち止まると、里山の大木が三つの枝へ分かれて空を押し上げている。地上7メートルあたりから三枝に分かれるという説明どおりで、樹形のほうが古い物語を話している気がした。
  4. 高柴山は標高884メートル、山頂近くに約3万株のヤマツツジが群落をつくる。花の季節でなくても展望台から阿武隈の峰々を見渡せるので、今日は赤ではなく遠景を拾う。
  5. 大越駅から徒歩約25分という白鳥神社は、坂上田村麻呂ゆかりの物語を持つ小さな神社。山から戻って訪れると、伝説が遠い昔ではなく、道端の曲がり角にまだ置かれている感じがした。
  6. 永泉寺のサクラは県指定天然記念物で、地元の保存会に守られている一本。例年の見頃は4月中旬、時期には夜のライトアップもある。花のない季節でも、最後に残るのは木を待つ時間だ。
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