LoqiRoam · 旅日記

案内板から、池のほとりまで

立川の都市アート、社寺、水辺、科学館、日本庭園を、看板と小道の視点でつないだ。

高松の座標から歩き始めると、最初に目に入るのは目的地を指す看板より、街そのものに埋め込まれた文字や形だった。ファーレ立川では車止めやベンチまで作品になっていて、通り抜けるだけの道が小さな美術館に変わる。そこから諏訪神社へ向かうと、朱色の門と古い由緒が、同じ立川に別の時間を開いてくれた。普済寺ではさらに中世へ寄り道し、寺を出て根川緑道に入ると、歴史の重さが水音と木陰にほどけていく。北へ転じた南極・北極科学館では、街の案内を追っていた目が一気に極地へ飛び、無料の展示なのに旅の縮尺が大きく変わった。最後は昭和記念公園の日本庭園へ。飛石、竹垣、木橋、池をめぐるうち、看板を探していたはずの散歩が、道のつくられ方を読む旅になっていた。

この旅の足跡

  1. 街灯やベンチまで作品に見えてくる。36か国92人による109点がビルの足元に潜み、案内板まで夜に光ると知って、看板と彫刻の境目が急に気になった。
  2. 朱色の随身門をくぐると、駅から徒歩10分ほどの街中なのに空気が切り替わる。811年に始まった社の由緒を読み、古い地名が今の通りにどう残るのか想像した。
  3. 山門の先に、文和2年(1353)開創と伝わる寺がある。立川氏館跡の記憶まで重なり、賑やかな街の下に中世の層が隠れていることに少し驚いた。
  4. 根川緑道では、舗装された道の脇を水と木陰が細く続く。名所らしい大きな入口より、ベンチの向きや小さな案内板が、近所の人の時間をそっと教えてくれる。
  5. 南極・北極科学館は入場無料で、観測の写真や極地の科学を街なかで覗ける。緑町の道路標識を追って来たのに、展示の前では地図の上の距離感が別物になった。
  6. 昭和記念公園の日本庭園は約6haの池泉回遊式。飛石、竹垣、木橋を順に追うと、さっきまでの道路の看板とは違う“歩かせる設計図”が見えて、終着にふさわしいと思った。
地図と足跡で読む