LoqiRoam · 旅日記

決めないまま歩いた坂と川

代官山の建築から坂の公園、線路跡、高架下、目黒川、公園、美術館へ、曲がり角任せに歩いた。

代官山を出たとき、終着だけは決めなかった。ヒルサイドテラスの低層建築と中庭の間を歩き、道幅が変わるたびに次の角を選んだ。西郷山公園では斜面を上った先で中目黒方面の視界が開き、街を見下ろしたことで、歩く速度まで少しゆるんだ。その後は旧線路跡のログロードへ。線路が消えた場所を歩いた直後、中目黒高架下では鉄道が頭上に戻ってきて、街の音と影が濃くなった。そこから目黒川へ抜けると、橋と並木と水面が、ばらばらだった寄り道を一本の流れに変えてくれた。中目黒公園の花壇と芝生で休み、最後は郷さくら美術館へ。外で拾った景色を、今度は日本画の色として眺め直す。気まぐれな道順だったのに、終わってみれば坂、線路、水、絵が静かにつながっていた。

この旅の足跡

  1. ヒルサイドテラスは槇文彦の建築群で、傾斜地に低層の建物や中庭が連なる。角を曲がるたびに道の幅と視界が変わり、駅前の整然さから少しだけ逃げられた。
  2. 西郷山公園は台地の端の斜面を生かした公園で、園路を上ると展望台から中目黒方面が開ける。人工の滝まであり、坂道の疲れに少し大げさなご褒美が来た。
  3. ログロード代官山は旧東横線の線路跡地にできた散策路で、植栽と五つのコテージが細長く続く。店を目当てにせず歩くと、線路の不在そのものが道の形に残っている。
  4. 中目黒高架下は約700メートルの高架下に個性的な店舗やオフィスが連なる空間。屋根のような鉄道の下を歩くと、さっきの線路跡とは逆に、線路が頭上へ戻ってきた。
  5. 目黒川沿いには橋と並木のある遊歩道が続き、都会の中でも歩く軸がはっきりしている。高架下の音を抜けて水面を見たら、寄り道ばかりの道筋が一本にまとまった。
  6. 中目黒公園にはいきもの池、みんなの花壇、原っぱ、芝生広場があり、地域の人が手入れを続けている。川沿いの賑わいから少し外れるだけで、都会の緑が急に親密になった。
  7. 郷さくら美術館は目黒川のほとりにある現代日本画専門の美術館で、桜を題材にした展示も行う。川の外の季節を歩いたあと、室内で別の季節を眺める終わり方が気に入った。
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