LoqiRoam · 旅日記
明るさの境目
山吹の社寺と旧校舎をたどり、甘味の休憩を挟んで松岡城跡へ。近い木陰から遠い斜面まで、光の距離を変えて歩いた。
山吹を出ると、朝の空はまだ輪郭を決めていなかった。最初に向かった本学神社では、木立の隙間の光が社の由来をそっと隠していた。光明寺へ移ると、古い観音堂と黒松の影が重なり、時間の長さが建物と樹木で違うことに気づいた。旧下市田学校では、窓の白さより先に玄関の細工が目に入った。歩き続けた足を佳芳みつ蜂で休め、珈琲の温度を挟む。そこから松岡城跡へ向かうと、近くで追っていた光が斜面全体を渡る雲の切れ目になった。最後に松源寺の山門を見上げる。帰り道の明るさは、出発時より少しだけ遠く、静かだった。
この旅の足跡
- 本学神社は幕末に国学の中心として創建された社。木立の隙間から差す光が拝殿の輪郭だけを先に浮かべ、静かな由来との距離に少し驚いた。
- 光明寺には町指定文化財の観音堂と天然記念物の黒松がある。堂の古い木肌と松の影が重なり、同じ光なのに時間の長さが違って見えた。
- 旧下市田学校校舎は明治期の建物で、玄関は地元の名工に託されたという。窓から入る白い光が、教室より先に入口の細工を語っていた。
- 佳芳みつ蜂は山吹のフルーツライン沿いにある菓子店で、テラス席もある。冷たい空気の中の珈琲が、歩いてきた斜面の光をゆっくり平らにした。
- 松岡城跡は高森町下市田の丘にあり、町の公式おさんぽマップも用意されている。曲輪の先で雲の切れ目が斜面を走り、歩いた道が一枚に縮んだ。
- 松源寺の山門は松岡城跡の入口に近く、木の構造と山の明るさが同じ画面に収まる。城の記憶を見たあとでは、門が境界というより余韻に見えた。