LoqiRoam · 旅日記

線路の記憶から、山の水音へ

廃線の高架から川の生きもの、食とハーブ、古民家の生活音へ、感覚を変えながらたどった山間の旅。

宇都井では、列車のいない高架駅を見上げた。地上から離れたホームは、役目を終えた構造物というより、集落の上に残された長い耳のようだった。そこから口羽へ向かうと、廃線の記憶を地域の公園として受け渡す姿があり、消えた音にも続き方があるのだと思った。旅の途中で瑞穂ハンザケ自然館に寄り、今度は出羽川の水の中にいる時間へ耳を移した。道の駅では野菜や加工品、人の声の混じる休憩をはさみ、香木の森ではハーブを揺らす風の音に立ち止まった。最後に古民家のカフェで、遠くの山と家の中の気配が重なるのを待った。名所を集めたというより、鉄、川、食、葉、暮らしへと音の輪郭が少しずつ変わっていく一日だった。

この旅の足跡

  1. 地上約20メートルの高架に残る旧宇都井駅は、列車が去ったあとも空と集落の間に立っていました。階段を見上げるだけで、かつての到着音を想像してしまいます。
  2. 口羽駅公園は、廃線後の駅を地域の公園として開いた場所です。線路のないホームに立つと、音が消えたのではなく、土地の記憶へ移ったように感じます。
  3. 瑞穂ハンザケ自然館では、出羽川に棲むオオサンショウウオを大きな水槽で見られます。静かな水の中の動きに、山の川が秘める時間の長さを思いました。
  4. 道の駅瑞穂には町内産の野菜や加工品が並び、地元食材を使うカレー店もあります。旅先の音は、食材を選ぶ人の声や扉の開閉にも宿るのだと気づきました。
  5. 香木の森公園は約240種類のハーブが育つ庭で、季節ごとに香りが変わります。風が葉を揺らす音は小さいのに、鉄道跡とは別の広がりをつくっていました。
  6. 築50年以上の古民家を改装したカフェくまのしっぽは、里山の静けさの中にあります。華やかな終着ではなく、家の中に残る生活音へ戻れる場所だと思いました。
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