LoqiRoam · 旅日記
海風が曲がるたび、岩美
生活の道から浦富の砂浜、海辺の神社、田後の漁村史、城原の透明な海を経て、岩井温泉へ着地した。
岩美駅を出て、まず海へ一直線には行かなかった。国道沿いのきなんせ岩美で、直売所と食事処の気配を拾う。そこから浦富へ向かうと、砂浜は透明な海を広く見せ、少し横の荒砂神社は岩場の上から海を近く見せた。同じ海なのに、道を一つ曲がるだけで距離感が変わる。田後神社では、荒砂神社から恵比寿様を迎えた漁村の由来に出会い、観光の景色が暮らしの話へ静かにほどけた。さらに城原海岸へ進むころには、海の青さよりも、起伏のある自然探勝路を歩く足音が印象に残った。最後は山側の岩井ゆかむり温泉へ。頭に手ぬぐいを置いて湯をかむる風習を想像すると、旅の終わりが少し可笑しく、そして土地らしくなった。名所を集めたというより、砂浜、社、港、透明な海、温泉という違う速度の場所を、曲がり角でつないだ一日だった。
この旅の足跡
- 国道9号沿いなのに、直売所には岩美の海と山が同居している。旅の始まりに食卓の匂いを拾うと、町が急に近くなった。
- 浦富の砂浜は水が澄み、浅く穏やか。人気の海水浴場なのに、平日の端には波音だけの余白があり、歩く速度まで遅くなった。
- 荒砂神社は浦富海水浴場の脇、砂浜ではなく岩場の上に立つ。境内裏の海が思いのほか近く、祈りと潮風の境目が曖昧だった。
- 田後神社では、明治期に荒砂神社から恵比寿様を迎えた由来が残る。漁業の神を村が自分の手元へ戻した話に、港の気骨を感じた。
- 城原海岸は最高透明度25メートルとも紹介される海域公園。青がきれいすぎて、海底を覗くより先に、自分の足元の小石を疑った。
- ゆかむり温泉は49.8度の源泉をかけ流し、朝6時から夜10時まで開く。頭に手ぬぐいを置き柄杓で湯をかむる風習が、終着を少し可笑しくした。