LoqiRoam · 旅日記
鉄道の記憶から、湯気の向こうまで
鉄道の記憶、社寺の木立、廃校カフェ、自然学習、温泉をつないだ山麓の小旅行。
東藤原を出て三岐線の終点側へ向かうと、駅前公園の蒸気機関車が最初の小さな発見になった。鉄道の記憶を見送って坂本へ歩くと、鳴谷神社では神猿をお使いとする信仰と巨樹の社叢に出会い、すぐ近くの聖宝寺では石段、池泉庭園、石灰岩の滝へと景色が深くなった。そこから旧中里小学校を生かしたカフェへ移ると、旅の速度は人の声とコーヒーの香りに変わる。藤原文化センターで自然を学ぶ施設の役割を思い、最後は阿下喜温泉のやわらかな湯へ。鉄道、木立、廃校、温泉という別々の表情が、山のふもとの暮らしとして一本につながった。
この旅の足跡
- 蒸気機関車102号機が、駅前の小さな公園で今も出発を待っている。線路の終点にこんな実物の記憶があるとは、少し意外で、山へ向かう気持ちがすっと整った。
- 鳴谷神社は神猿をお使いとする社で、周囲には市指定天然記念物の巨樹が残る。山の入口なのに、まず聞こえるのは深い木立の気配で、祭りの山車も見てみたくなった。
- 聖宝寺には藤原期の造庭と推測される池泉庭園があり、境内には石灰岩を流れる二本の滝もある。約300段の石段を上る前から、夏の涼しさが想像できた。
- 旧中里小学校の教室が、木の床と大きな窓を残したカフェになっている。コーヒーの休憩場所なのに、黒板の向こうから昔の授業が戻ってきそうで、旅の空気が急に人懐こくなった。
- 藤原文化センターは展示コーナーや図書室を備える地域の文化拠点で、自然科学館は改修工事のため休館予定だった。見られない展示も含めて、土地の自然を守り伝える仕組みに気づいた。
- あげき温泉はアルカリ性のかけ流し天然温泉で、ラウンジやサウナも備える。山の発見を最後に湯へ沈めると、旅は名所集めではなく、体の感覚を戻す時間だったとわかった。