LoqiRoam · 旅日記

影の輪郭を追って、和歌浦へ

和歌山城の石垣から公園、美術館、和歌浦の社寺と庭園を経て海辺へ。硬い影、揺れる影、水に崩れる影を追った。

岡崎前を出ると、最初に目指したのは和歌山城だった。白い天守より先に目に入ったのは、石垣の継ぎ目へ静かに落ちる木の影。城内の緑を歩くうち、影は硬い線からまだらな揺れへ変わっていった。県立近代美術館では、外の光が展示室の床に別の時間をつくっているように見え、旅はいったん内側へ沈む。そこから和歌浦へ向かい、天満宮と東照宮の石段を上り下りした。ひらけた海へ向かう階段と、森へ吸い込まれる階段。その違いを身体で確かめたあと、養翠園の汐入りの池で松の影を眺め、最後は海辺へ下りた。防波堤の黒さは波にほどけ、残ったのは景色よりも、光が何に遮られ、どこへ滲んだかという感覚だった。

この旅の足跡

  1. 和歌山城には城主の時代ごとに異なる石垣が残る。白い天守を見上げたあと、石の継ぎ目に木の影が重なるのを見つけ、街の古さが足元から立ち上がるように感じた。
  2. 和歌山城公園は天守だけでなく、紅葉渓庭園や御橋廊下、動物園まで緑の中に点在している。園路を歩くと、葉の影が石垣の静けさを細かく揺らしていた。
  3. 和歌山県立近代美術館は和歌山城を間近に望む緑豊かな場所にあり、郷土作家や近現代版画の収蔵でも知られる。展示の静けさの中で、窓の光まで作品の一部に見えた。
  4. 和歌浦天満宮へ続く石段は、上るほど海の明るさが視界に広がる。手すりの影は段ごとに短く切れ、急な道なのに振り返るたび足が止まった。
  5. 紀州東照宮の参道は木々に囲まれ、108段の石段へ折れながら続く。暗い森を抜けた先の石の明るさに、影が景色を隠すだけでなく導くものだと気づいた。
  6. 養翠園は紀州徳川家の大名庭園で、海水を取り入れた汐入りの池と松が特徴だという。池の縁では松の影が水面に留まらず、風のたび別の形へ崩れていった。
  7. 和歌浦の海辺では、防波堤の影が水面まで届かず、波だけが黒い輪郭を細かく崩していた。夕方の光を眺めるつもりが、動き続ける影から目を離せなくなった。
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