LoqiRoam · 旅日記

音の向くほうへ、飯田の丘を歩く

駅前の生活音から人形文化、りんご並木、城下町、美術博物館へ、飯田の時間を音の変化としてたどった。

切石を出て、まず飯田駅のホームに立った。列車が山あいへ向かう線路を抱えているのを見ていると、まだ歩き始めていないのに旅の速度が決まっていく。駅前の喫茶山雅でひと息つき、コーヒーの湯気と人の声を近くに置いた。そこから本町の川本喜八郎人形美術館へ向かう。200体余りの人形は黙っているのに、表情の奥には台詞や足音が残っているようだった。外へ出ると、りんご並木が約300メートル続く。13種類26本の木を育てる道には、飯田の大火からの復興と、今も続く手入れの時間が重なっていた。赤門ではさらに古い城下町の記憶に触れ、美術博物館で菱田春草や伊那谷の自然、プラネタリウムの暗がりへ気持ちを落ち着ける。音を探していたはずが、最後に残ったのは、音と音のあいだにある静けさだった。

この旅の足跡

  1. 飯田駅のホームには、列車の到着を待つ静けさがある。山あいへ伸びる線路を見ていると、旅はもう始まっている気がした。
  2. 駅からわずか徒歩2分の喫茶山雅で、コーヒーとジンジャーエールの案内を眺める。店内の声が、旅の緊張をほどいてくれた。
  3. 200体余りの人形が待つ美術館。三国志や平家物語の人形は声を出さないのに、面差しの奥から物語の気配が聞こえてくる。
  4. 約300メートルの道路に13種類26本のりんごの木。歩車共存の並木を歩くと、復興の記憶が葉擦れの音に重なって聞こえた。
  5. 赤門は1754年の飯田城桜丸御門で、弁柄の赤が今も残る。門は閉じているけれど、城下町の時間だけは通り抜けられた。
  6. 飯田市美術博物館は9時30分から17時まで。菱田春草、伊那谷の自然、プラネタリウムまで、一日の音が静かに内側へ沈んでいく。
地図と足跡で読む