LoqiRoam · 旅日記

作並で拾った三つの気配

滝の音、こけしの木肌、定義の熱々の味をつなぎ、作並から定義まで自然・文化・休息の変化を楽しんだ。

出発したときは、山の駅から温泉へ向かうだけのつもりだった。けれど最初の鳳鳴四十八滝で、旅は目より先に耳へ届いた。水音を聞いたあとに宮城峡蒸溜所へ入ると、峡谷の水が赤煉瓦の建物の中で香りへ変わっていく。そこから作並こけしの木肌へ視線を縮め、温泉で歩いた分だけ身体をほどいた。後半はバスで定義へ。山門、五重塔、庭園の静けさを歩いたあと、三角あぶらあげを頬張ると、信仰の場所も工芸も食も、山の道でゆるやかにつながっていた。大きな名所を制覇した感じではない。でも、水の音、削られた木、熱い一枚という三つの小さな手触りが、帰り道まで残る旅になった。

この旅の足跡

  1. 広瀬川の水音が鳳凰の鳴き声に似ると伝わる滝。高台から眺めると、森の中の白い流れが思ったより細やかで、名前の大きさとの対比に驚いた。
  2. 赤煉瓦の建物と緑の峡谷が並ぶ蒸溜所。低硬度の水が使われると知り、川の透明感とグラスの香りが同じ旅の中でつながった気がした。
  3. 150年の歴史を持つ作並こけしは、丸い木肌に土地の気配を残す。絵付けの線を想像しながら店先をのぞくと、山の旅に小さな人影が増えた。
  4. 作並温泉はアルカリ性単純温泉で、日帰り入浴できる施設もある。山道の緊張が湯にほどけ、さっきまで見ていた木々まで少し柔らかく感じた。
  5. 定義如来西方寺では山門の先に青森ヒバの五重塔と浄土庭園が待つ。山あいに突然現れる整った塔を見て、信仰の道が景観にもなっていると感じた。
  6. 定義とうふ店の三角あぶらあげは、豆腐を一枚ずつ手揚げする名物。七味としょうゆで頬張ると、山道の終点が急に親しみやすい食卓へ変わった。
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