LoqiRoam · 旅日記
山の光から、城下の水へ
温泉、湖、山裾の休憩、寺町、古民家の文化空間、湧水をつないだ。
越前下山で降りると、山の斜面はまだ薄い光を抱えていた。まず平成の湯へ寄り、化石を思わせる意匠と山並みを眺めて、歩く前の身体を静かにほどく。そこから九頭竜湖へ向かうと、箱ヶ瀬橋の細い線が広い水面を横切った。橋そのものより、雲の動きが湖に遅れて届くことが印象に残った。西へ戻る途中、荒島岳の麓の道の駅で食と人の気配に触れ、旅の速度を一度落とす。城下町では寺町の白壁と水路を歩き、古い町の反復に午後の影を重ねた。COCONOの古民家では、庭の石が水滴の形に見え、外の明るさが室内の木肌へ変わった。最後に御清水へ着く。山、橋、町家を通ってきた光が、湧水の小さな揺れに戻っていた。
この旅の足跡
- 平成の湯の露天に化石を思わせる意匠がある。山を見ながら湯に入ると、歩く前なのに時間だけ先にほどけた。
- 九頭竜湖の上に、瀬戸大橋の試作として造られた箱ヶ瀬橋が伸びる。水面より橋の影が先に動いて見えた。
- 荒島岳の麓の道の駅には、直売所、フードコート、カフェ、モンベルが集まる。山の光が買い物のガラスにも落ちていた。
- 寺町には16の寺院が並び、碁盤目の城下町の東端を形づくる。白壁と水路の境目だけ、午後の影が濃かった。
- 築約120年の木造古民家を改修したCOCONOは、市民が集めた近現代絵画を見せる場。中庭の石が水滴のように光った。
- 名水百選の御清水は、城下町の足元から湧く。水面に揺れる空が、山で見た白い明るさを小さく返していた。