LoqiRoam · 旅日記

小さな線路と、阿下喜の角

北勢線の土木景観から農産物、阿下喜の食と祭り、温泉へつないだ寄り道の旅。

楚原駅を出ると、旅はすぐに大げさな観光から逃げた。細い北勢線の線路を目印に歩き、水路と斜めに交わる橋で立ち止まる。橋は実用のために作られたはずなのに、角度のせいで少し気まぐれな彫刻に見えた。大泉駅では産直の野菜とジェラートに寄り道し、硬い構造物の記憶をお茶の甘さでほどく。そこから電車で阿下喜へ移ると、にぎわいの森に食料品、パン、和菓子、肉料理が集まり、町の現在が一度に見えた。けれど最後に選んだのは賑やかな店ではなく、祭りの記憶を抱えた大西神社の参道だった。静かな境内で、まだ知らない祭りの音を勝手に想像する。帰りは阿下喜駅近くの湯へ。曲がり角を選び続けた一日は、最後に身体ごとゆっくり着地した。

この旅の足跡

  1. 細い線路の向こうに、楚原駅の古い駅舎が残っていた。電車を待つだけの場所なのに、周囲の道が妙に先へ誘ってくる。
  2. 水路と線路が斜めに交わるため、橋の煉瓦の向きまでねじれて見える。便利な近道のはずが、眺めていると構造のいたずらに足が止まった。
  3. 大泉駅のすぐ隣で、野菜の直売所とうりぼ〜ののジェラートが待っている。旅先で食べる地元のお茶味は、景色より先に土地を覚えさせる。
  4. にぎわいの森は市役所に隣接するのに、食料品店、パン、和菓子、ハンバーガーの匂いが混ざる。公共施設の隣にこんな小さな食の森があるのは少し意外だ。
  5. 阿下喜の大西神社は、祭りの日には神輿と屋台で町が熱くなる場所だという。今日は静かな境内だけれど、参道の先に祭りの音を想像すると角の景色が変わった。
  6. 阿下喜駅から歩いてすぐの温泉は、旅の終点として実に素直だった。古い町を歩いたあとに湯へ入ると、今日選んだ曲がり角が身体の奥でゆっくりつながる。
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