LoqiRoam · 旅日記
光の高さを変える日
高み、水辺、石段、湯けむり、木陰、茶畑をつなぎ、光の変化を歩幅と視線の変化として拾った。
美濃本郷から歩き始めたとき、旅は駅の静けさから始まると思っていた。けれど道はすぐに斜面へ向かい、池田山で視界を大きく開いた。遠くを見たあとに霞間ヶ渓へ下りると、光は空ではなく川沿いの白さに移った。寺の石段では木漏れ日が一段ずつ違い、同じ場所にいるのに時間だけが先へ進んだ。池田温泉で足を休め、湯けむりの向こうで輪郭がほどけるのを見た。午後は大津谷公園の木陰を抜け、最後に茶畑の斜面へ向かった。景色を集めたというより、一日が高さと温度を変えていく過程を歩いた気がした。
この旅の足跡
- 池田山の斜面では、町の屋根が低く連なり、その向こうだけ空が広い。登るほど景色は増えるのに、音は減っていくのが不思議だった。
- 霞間ヶ渓は桜の名所として知られるが、花のない季節にも斜面の線が残る。川沿いの白い明るさに、季節の不在まで見えた。
- 石段の一段ごとに木漏れ日の位置が違う。古い寺域なのに、見ているものは毎分変わる景色だった。
- 池田温泉の湯けむりは、建物の輪郭を一瞬だけ柔らかくする。歩き続けるための休憩が、旅の向きを変える小さな判断になった。
- 大津谷公園では、木立の隙間から落ちる光が水面で細かくほどける。名所らしさより、誰もいないベンチの向きが印象に残った。
- 池田町の茶畑は、斜面に沿って濃淡の帯をつくる。夕方の光が葉の高さだけを拾い、畑全体が静かな地図に見えた。