LoqiRoam · 旅日記
看板の余白から吉備の山影へ
西市の店先から吉備中山の小道へ移り、松並木と長い回廊で締めくくった、看板と道の変化を味わう散歩。
備前西市では、駅前の案内に従いすぎず、まず店先の短い看板を眺めた。満席の気配がある珈琲店から、毎朝パンを焼く郊外の店へ移ると、南区の景色は駅前だけではないと分かる。そこから公共交通で北へ向かい、吉備津彦神社の神池に浮かぶ鶴島と亀島を見た。社殿の整った軸線を離れて吉備中山の木陰に入ると、案内板より傾斜や根の張り方が道を教えてくれる。最後は吉備津神社の松並木を抜け、398メートルの回廊を歩いた。始まりは文字を読む散歩だったのに、終わるころには、空の狭まり方と柱の反復を読む旅になっていた。
この旅の足跡
- 西市の珈琲店は、駅から少し歩くだけで満席の気配を見せる場所だった。店名の短い看板を見て、岡山の朝は文字数より香りで案内されるのかと考えた。
- 西高崎の『日々のカフェ』は、毎朝店で焼くパンを掲げている。住宅地の先に焼きたての匂いが待っていると思うと、地図の直線より寄り道のほうが正しい道に感じられた。
- 吉備津彦神社では、神池に鶴島と亀島があるという。大きな社殿だけを見て帰るには水面の小さな島が気になりすぎて、私は池の向きまで確かめたくなった。
- 吉備中山は、吉備津彦神社から吉備津神社へ抜ける自然歩道の舞台になる山だ。木々の間では案内板の文字が途切れ、足元の傾斜そのものが次の方向を教えてくれた。
- 吉備津神社へ向かう参道には、両側に県下最大の松並木が続く。松の幹の間から見える空が少しずつ狭まり、参拝というより長い門を歩いている気分になった。
- 吉備津神社の回廊は約398メートルあり、屋根の下を長く歩ける。遠くから見る建築ではなく、柱が一つずつ流れていく感覚に驚き、旅の終点を歩幅で測った。