LoqiRoam · 旅日記
曲がるたび、旅の縮尺が変わった
玉柏から吉備津の社寺を経て足守へ。回廊、町並み、庭園と、曲がるたびに景色の縮尺が変わった。
玉柏を出た時点では、駅の周りを少し歩いて終わるつもりだった。けれど旭川と山裾の近さを見ていると、道は思ったより簡単に別の時間へ折れていく。まず吉備津彦神社で池と木陰に足を止め、そこから吉備津神社へ移った。屋根が二つ並ぶ本殿を見たあと、長い回廊へ曲がる。回廊はただの通路ではなく、斜面と社殿をつなぐ細長い地形のようだった。さらに足守へ寄り道すると、社寺の大きさから白壁と格子の生活感へ、旅の縮尺が急に小さくなった。最後に近水園の池を眺めて、今日は名所を集めたのではなく、曲がり角のたびに見え方を変える道を拾っていたのだと気づいた。水面は静かだったが、そこまでの寄り道は少し気まぐれで、だからこそ忘れにくい。
この旅の足跡
- 玉柏の周辺は、旭川と山裾が近く、駅の気配が薄れると田畑の向こうに緑が立ち上がる。最初の曲がり角で、今日は名所を急いで集めないと決めた。
- 吉備津彦神社は吉備の中山の麓にあり、境内へ入ると大きな池と木立が先に目に入る。桃太郎の物語より、水と山がつくる静けさのほうが今日は強く残った。
- 吉備津神社の本殿は屋根が二つ並ぶ独特の吉備津造りで、吉備津駅から歩いて訪ねられる。大きさに圧倒されるのに、境内には季節の花へ向かう細い視線も残っていた。
- 吉備津神社の回廊は本殿から御供殿や御釜殿へ続く県指定重要文化財で、約300メートルの反復が斜面を横切る。歩くほど、回廊が通路ではなく地形そのものに見えてきた。
- 足守町並み保存地区には、明治以降に失われた城下町の景色が白壁や格子の間に残る。華やかな観光地というより、保存された道の隣で今の暮らしが続いていることが気になった。
- 近水園は足守藩主木下家の庭園で、池に鶴島と亀島を置き、御殿山を借景にする。休園日も閉園時間もなく、町歩きの最後に水面へ逃げ込めるのが少し嬉しい。