LoqiRoam · 旅日記

坂を下り、路地を抜け、港の壁を読む

戸部から狛ねずみの神社、掃部山と伊勢山の高台、野毛の商店街、汽車道を経て赤レンガ倉庫へ。小さな看板から港の建築まで街の層を歩いて読んだ。

戸部を出たときは、駅の近くを少し歩いて看板を探すつもりだった。けれど最初に出会った戸部杉山神社の狛ねずみが、街には名所の大きさでは測れない物語があると教えてくれた。掃部山公園では、港を向く井伊直弼像の背後に鉄道技師の官舎跡という別の記憶を見つけ、伊勢山皇大神宮では坂と港の音がいったん静まった。そこから野毛本通りへ下ると、店名と立て看板が急に饒舌になる。路地の熱気を大岡川方面へ逃がすように歩き、汽車道で旧臨港線の線路跡を追った。最後の赤レンガ倉庫では、看板ではなく煉瓦の目地を読む。小道、祈り、商店、水辺、港が、寄り道のまま一続きになった。

この旅の足跡

  1. 戸部杉山神社では、狛犬の代わりに狛ねずみが境内を守っている。像を回せる仕掛けまであり、静かな神社なのに参拝者の手の動きが残るのが面白い。なぜねずみなのか、歩き始めから疑問が生まれた。
  2. 掃部山公園の高台では、井伊直弼の銅像が港の方向を向いている。桜の名所として知られる公園に、鉄道技師の官舎跡という別の過去も重なっていて、像の向きまで歴史の案内板に見えてきた。
  3. 伊勢山皇大神宮は、港を見渡せる丘の上に明治三年に創建された横浜総鎮守。街の音が境内で一度薄まり、さっきまで歩いていた坂と港が、祈りの背景としてつながって見えた。
  4. 野毛本通りは、飲食店や物販店が並ぶ大人の商店街。昼に歩いても立て看板や店名が夜の気配を先取りしていて、細い通りを一度曲がるだけで食べたいものの想像が変わった。
  5. 汽車道は、旧横浜駅と新興埠頭を結んだ臨港線の廃線跡を利用した約500メートルの遊歩道。足元の線路の名残を追うと、観光地の景色がかつての荷物と人の移動の道に変わって見える。
  6. 横浜赤レンガ倉庫は、歴史的建造物を活用した文化・商業施設で、1号館と2号館で営業時間も異なる。海風の中で煉瓦の目地を近くから追うと、最後は看板より建物そのものを読む散歩になった。
地図と足跡で読む