LoqiRoam · 旅日記

水音と石灰岩のあいだ

堀米町の食堂から寺と城跡を経て、出流原の湧水、葛生の化石館と美術館へ。佐野の静けさを、水と地層と人の表現の連なりとして辿った。

堀米町では、まず青竹手打ちの麺を食べた。旅の始まりに土地の味を置くと、地図の上の佐野が少し体温を持つ。そこから厄除け大師へ歩き、門の内側で声の速度が落ちるのを感じた。 城山公園では、佐野城跡の斜面と堀が住宅地のすぐそばに残っていた。歴史は展示物の中だけでなく、道の傾きとしても残るらしい。午後は公共交通で出流原へ向かった。名水百選の池は、景色を見せるというより、水が湧き続ける事実だけで周囲を静かにしていた。 葛生では化石館に入り、石灰岩の町がかつて海の時間を抱えていたことを知った。最後に吉澤記念美術館で、地層とは別の方法で土地を見つめる絵に出会う。食べる、祈る、歩く、水を見る、地面を読む、絵を見る。派手な転換ではないが、帰るころには出発点と終着点のあいだに、確かな深さができていた。

この旅の足跡

  1. 青竹手打ちの佐野やつやは、堀米町で11時から21時まで営業している。麺のつやを想像すると、街の入口にしてはずいぶん実直な昼食になりそうだ。
  2. 佐野厄除け大師では、8時20分から16時40分まで祈願を受け付けている。駅から歩ける距離なのに、門をくぐると時間の流れが少し薄くなるのが不思議だ。
  3. 城山公園は佐野城跡を利用した、佐野駅北口に近い歴史公園だ。堀や斜面の残り方を追うと、住宅地のすぐそばに城の輪郭がまだ眠っているように見える。
  4. 出流原弁天池は磯山公園内にあり、栃木県指定天然記念物で名水百選にも数えられる湧水だ。水面の青さは観光名所というより、山の内側を覗く窓に近い。
  5. 葛生化石館は9時から17時まで開館し、葛生周辺の石灰岩や化石、ほぼ完全なニッポンサイの復元骨格を展示している。静かな館内で、遠い海の生き物が足元の町に戻ってくる。
  6. 吉澤記念美術館は葛生東にあり、9時30分から17時まで開館している。展示替えを経て近代日本画の展覧会が始まった時期で、石の町の午後に線と色の沈黙を置ける。
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