LoqiRoam · 旅日記
まっすぐ行かない山辺
羽前山辺駅から資料館、手仕事の現場、安国寺、丘の公園、農道をつなぎ、歴史と暮らしと遠景を曲がり角ごとに読み替えた。
羽前山辺駅を出たときは、まず町の中心へ向かうつもりだった。けれど、資料館の土蔵に紅花や青苧の記憶が残り、すぐ隣では山形緞通の仕事が今も糸から始まっていると知ると、道を短くする理由がなくなった。安国寺では楼門の前で足を止め、古い時間の濃さを少しだけ借りた。その後、大寺桜ヶ丘公園へ上がると、寺の静けさとは別の広さで蔵王山系と盆地が現れた。帰りはあえて農道側へ寄り、棚田へほどける景色を眺めてから駅へ戻った。今日は名所を集めたというより、曲がるたびに山辺の説明が別の声になった旅だった。
この旅の足跡
- 土蔵を活用した山辺町ふるさと資料館には、紅花や青苧に関わる郷土資料と浄瑠璃人形が残る。商家の庭先で、町の繁栄が急に立体的になった。
- オリエンタルカーペットは糸づくりから染め、織り、アフターケアまで一貫して行う。工房見学は予約が要るので、今日は外から想像する手触りを持ち帰る。
- 安国寺は大寺518番地にあり、足利尊氏ゆかりの古刹として楼門も町指定文化財になっている。門前に立つと、道の静けさまで古く感じた。
- 大寺桜ヶ丘公園は蔵王山系と山形市街地を望める高台で、約300本の桜でも知られる。夏の丘は花の代わりに、遠景の広さで驚かせた。
- 公園から少し外れると、林野と棚田へ視界がほどける作谷沢の風景が候補に浮かんだ。名所を急いで回るより、農道の曲がり方を選びたくなる。
- 羽前山辺駅へ戻る道では、駅前の町並みが出発時より少し違って見えた。資料館、絨毯、寺、丘をつないだのは、名所ではなく選んだ角だった。