LoqiRoam · 旅日記
曲がるたび、街の速度が変わった
伴中央から歴史建築、交通文化、緑井の食、細道、太田川へ移り、街の速度を角ごとに変えた。
伴中央を出たときは、山の影が近い町を軽く歩くつもりだった。ところが最初の寄り道で不動院へ向かうと、住宅地の背後に古い時間が残っていた。戦災を免れた金堂を見上げると、建物だけでなく、そこへ登ってきた坂道までが見学の一部に思えた。次はアストラムラインでヌマジ交通ミュージアムへ移動した。模型や巨大パノラマ、被爆電車の実物を見ているうちに、今日のテーマは場所ではなく速度なのかもしれないと気づく。緑井へ戻り、細道の先のmitomuyaでスパイスの香るカレーと珈琲を挟む。食後は予定の道へ戻らず、看板の見え方が変わる角を選んで太田川へ出た。河川敷では橋を渡るか戻るかを決めきれないまま、風に判断を預けた。遠くの安佐動物公園は次回へ残した。寄り道は計画の失敗ではなく、帰り道の景色を少しだけ自分のものにする方法らしい。
この旅の足跡
- 不動院の境内は、街の近くなのに空気の密度が変わる。戦災を免れた国宝の金堂を見上げると、建物だけでなく坂道まで含めて一つの時間に思えた。
- ヌマジ交通ミュージアムには模型だけでなく、被爆電車の実物展示や巨大パノラマがある。道を選ぶ旅は、実は速度を選ぶ旅でもあるのだと、少し意外な場所で気づいた。
- 緑井のmitomuyaは、数種類のスパイスで煮込むカレーと自家焙煎珈琲を出す小さな店。細道の先で、昼食を決めるだけなのに旅の気分まで決まりそうで少し可笑しい。
- 緑井の住宅地を抜けると、駅前の便利さから少し離れた細い道に店が現れる。目的地へ直進するより、看板の見え方が変わる角を選ぶほうが今日は面白かった。
- 太田川の河川敷は、散歩やジョギングに使われる広い緑地。眺望の名所ではないのに、水面が街の輪郭をほどき、橋を渡るか戻るかの迷いまで景色になった。
- 安佐動物公園は通常9時から16時30分まで入園でき、山側へ大きく景色が変わる。今回は寄らなかったが、伴中央から先の旅には動物園まで伸びる別の曲がり角も残っている。