LoqiRoam · 旅日記

水音から海峡へ、足音の午後

水辺から森、交流の記憶、遍路道を経て、鳴門海峡の風と潮流へ向かった音の旅。

阿波川端を出たとき、行き先はまだ輪郭だけだった。まず板東谷川へ向かい、堤防と田んぼのあいだに残る水の音を探した。そこから大麻比古神社の楠並木へ入ると、砂利の足音が森の静けさに吸い込まれ、旅の速度がゆっくりになる。ドイツ館では、板東俘虜収容所をめぐる交流の記録に触れ、土地の記憶は大きな monument だけでなく、人が交わした時間にも宿るのだと思った。霊山寺では遍路の出発点らしい気配を感じ、歩く旅が今も続いていることに背中を押された。最後は路線バスで鳴門公園へ。千畳敷の風に視界をひらかれ、渦の道では橋の中を海上散歩した。探していた音は、最後には潮流の向こうへ薄れていった。それでも、足音、水音、風の順に耳が変わったことが、この午後のいちばん確かな旅の記憶になった。

この旅の足跡

  1. 板東谷川は大麻町板東を流れる川で、堤防沿いには田んぼ道の気配も残る。水音を探して歩き始めると、駅前より先に土地の呼吸が聞こえそうだった。
  2. 大麻比古神社には約1kmの楠並木の参道と、樹齢1000年を超える御神木がある。砂利の足音が森に吸われていくようで、静けさにも厚みがある。
  3. 鳴門市ドイツ館は、板東俘虜収容所でのドイツ兵と地域の交流を伝える場所。展示を眺めていると、遠い国の音楽や技術がこの町に残った理由を考えた。
  4. 霊山寺は四国八十八ヶ所の第一番札所で、門前には遍路の出発を思わせる人の流れがある。静かな境内なのに、旅がここから続いていく感じがした。
  5. 鳴門公園の千畳敷展望台では、大鳴門橋を間近に望む景観がひらける。風の音に海の広さが混ざり、ここまでの細い道が急に遠くなった。
  6. 渦の道は大鳴門橋の橋桁内を450m歩く海上遊歩道で、展望室は海面から約45mの高さにある。足元の潮流を見ていると、海にも歩幅がある気がした。
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