LoqiRoam · 旅日記
水面から赤れんがへ
水面から茶室、歴史建築、噴水、資料館、赤れんがへ、光の質が変わる札幌中心部を歩いた。
中島公園の菖蒲池では、木々の影と空が同じ水面に沈んでいた。そこから日本庭園へ入り、八窓庵の小さな窓がつくる明暗に足を止めた。豊平館では、青い外壁と白い装飾が木立の隙間でゆっくり明るさを変えていた。大通へ出ると、噴水の水が風にほどけ、歩道の硬い線まで柔らかく見えた。札幌市資料館では、札幌軟石の壁とステンドグラスの色が、外の光を別の時間に変えていた。最後は赤れんが庁舎へ向かった。1888年の壁は歴史を説明するだけでなく、夕方の空を受ける面として立っていた。水、窓、壁、噴水、石、れんが。歩くほど、光は景色ではなく、場所同士をつなぐ細い道のように感じられた。
この旅の足跡
- 菖蒲池は鴨々川をもとにした水面で、緑と空を静かに映していた。ボートの線が消えたあと、光だけが岸に残るのが不思議だった。
- 八窓庵は江戸初期の草庵風茶室で、外観からでも窓の多さが空間を広げて見せる。小さな建物なのに、光の入口が多いことに驚いた。
- 豊平館は1880年築の木造洋風ホテルで、青い外壁と白い装飾が木立の中に浮かぶ。移築された建物が、今も光の向きを教えてくれる。
- 大通公園西11丁目の噴水は6月から9月中旬まで動き、10時から19時まで水を落とす。風で輪郭が崩れ、都市の直線が一瞬だけ柔らかくなった。
- 札幌市資料館は1926年の旧札幌控訴院庁舎で、札幌軟石の外壁とステンドグラスの回り階段が残る。窓の白さが石の重さを少しほどいた。
- 赤れんが庁舎は1888年竣工で、約250万個のれんがを使う。焼成で生まれた赤が夕方の空に少し紫を帯びるか、最後に見届けたくなった。