LoqiRoam · 旅日記

水面から城山、湯けむりの背面へ

平井から石手川、大街道、萬翠荘、松山城、道後温泉、湯築城跡へ。光の強い場所をつなぎながら、その隣の静けさを拾った。

平井を出たとき、旅はただ市街地へ近づくことだと思っていた。けれど石手川沿いで足を止めると、水音と鳥の声が移動の速度を変え、川面を渡る雲の影が最初の景色になった。大街道では屋根の下に店の明かりと人の流れがあり、その賑わいの先で萬翠荘の白い壁に庭木の影が重なった。松山城へ上がると、街の屋根は明るく、城山の木陰は深く、同じ午後に異なる時間が重なっているようだった。道後温泉本館では湯けむりと声が古い建物を現在へ引き戻していた。最後に道後公園の湯築城跡へ回ると、堀の水面と芝の影がゆっくり暗くなった。名所を集めたというより、明るい場所の隣にある静けさを、川から城山、湯の町、城跡へ受け渡していく旅だった。

この旅の足跡

  1. 石手川緑地では、水音と鳥の声が道の速度を落としてくれた。平井の住宅地を離れたばかりなのに、川面の雲影だけが遠い場所のように見えた。
  2. 大街道は歩行者専用の屋根付き商店街で、店の明かりが足元に細い影をつくる。賑やかなのに、通りの中央には不思議な余白があった。
  3. 萬翠荘は1922年築のフランス風洋館で、白い壁に庭木の影が重なる。豪奢な外観より、入口脇の暗がりが長く記憶に残った。
  4. 松山城の天守へ向かう道では、石垣の凹凸が昼の光を細かく分けていた。高みに立つと、街の屋根より城山の木陰の方が深く見えた。
  5. 道後温泉本館は保存修理を終え、いまも朝から夜まで湯を受け入れている。人の声と湯けむりが重なる入口で、古い建物が現在形になった。
  6. 道後公園の湯築城跡は、堀と芝、復元された武家屋敷が残る歴史公園だ。水面の影が夕方にほどけ、戦の記憶より風の静けさが前に出た。
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