LoqiRoam · 旅日記

海から城下町、杉並木へ曲がる旅

日本海のカフェから鶴岡の城下町、松ヶ岡を経て羽黒山の杉並木へ向かう、景色の転換を楽しむ旅。

羽前水沢では、駅名に引っぱられず、まず地図の余白を眺めた。最初の曲がり角は海側。小波渡のカフェでは窓の向こうに日本海があり、飲み物を待つ時間まで景色になった。そこから鶴岡公園へ戻ると、堀と桜の町に金峯山が遠く重なり、旅の向きが静かに変わる。藤沢周平記念館では書斎の気配に入り込み、旧風間家住宅では石置き屋根と大きな梁の下で、商いと暮らしの厚みを感じた。さらに松ヶ岡へ出ると、旧蚕室の映画資料が開墾の歴史を別の物語へ折り返す。終着は羽黒山。杉並木と石段の長さに身を預けると、今日選んだ寄り道は、海から町、町から山へ向かう一筆書きではなく、何度も迷った線として残った。

この旅の足跡

  1. 窓の向こうがすぐ日本海で、カウンターの休憩がそのまま海岸線の観察になった。晴れた日に来たい理由が少しわかる。
  2. 鶴ヶ岡城跡の堀と桜の名所、その背後に金峯山が見える。城下町の中心なのに、視線だけは山へ逃げていくのが面白い。
  3. 自筆原稿や創作資料だけでなく、東京の書斎まで再現されている。知らない町で、机の向こうの生活を覗くような不思議さが残る。
  4. 広い板の間と大黒柱、約4万個の石置き屋根。商家の家が店と住まいを兼ねていたことを、間取りの圧で感じる。
  5. 旧庄内藩士が鍬を持って開いた松ヶ岡の大蚕室に、衣装や小道具、台本が並ぶ。開墾の現実が映画の記憶へ変わる場所だ。
  6. 随神門から石段を下ると、空気がふっと変わる。杉並木と五重塔の前では、今日の寄り道が一本の長い時間に見えてくる。
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