LoqiRoam · 旅日記
商家の格子から、城跡の風へ
松阪の商家、武家屋敷、木綿、城跡、旧宅を路地の選択でつないだ
伊勢中川から近鉄で松阪へ移り、最初に観光交流センターで町の地図を眺めた。そこで予定を固めすぎず、魚町へ向かう道のうち、いちばん人の流れが薄い角を選んだ。旧長谷川家の格子、霧よけ、蔵の並びは、豪商という言葉より先に、毎日の出入りを想像させる。御城番屋敷では槇垣の向こうに武士の暮らしがあり、商家とは違う静けさに足が止まった。木綿の手織りセンターでは機織りの音に誘われ、布の町が今も完全には過去になっていないことに気づく。最後は松坂城跡の石垣へ上がった。路地で見た屋根が町の中に戻り、道が偶然ではなく積み重なりに見えた。宣長の鈴屋で一日を閉じると、賑わいからひとりの思索へ、もう一度曲がった気分になった。
この旅の足跡
- 松阪駅から少し歩くと、観光交流センターは町歩きの案内所になっていた。季節で18時まで開くのが意外で、ここからどの路地へ行くか迷う時間も旅らしい。
- 魚町の旧長谷川家は格子と霧よけ、五つの蔵、うだつの屋根を残す。商家の大きさより、通りに面した静かな構えのほうが強く記憶に残った。
- 御城番屋敷は槇垣の内側に武士の組屋敷が連なり、西棟の一戸が無料公開されている。商家とは別の規律が、同じ町に残っている。
- 松阪もめん手織りセンターでは、機織り機の音を聞きながら一点ものの布小物を見られる。静かな店内なのに、糸だけが忙しく動いていた。
- 松坂城跡の石垣は近郊の石を集めた壮大な遺構で、城跡から町並みを見渡せる。登った途端、さっきまでの路地が小さくなった。
- 本居宣長記念館には約16,000点の資料があり、隣には12歳から暮らした旧宅・鈴屋がある。華やかな城跡のあと、ひとりの時間へ戻る感じがした。